
いやー、映画のレビューブログってどうしてこうタイトルが30文字以内におさまんないんでしょうねー。
あ、どうも、レボログです。
今回は、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』という映画を観た感想をちょこっと。
記事の性質上ネタバレは不可避だと思うので、その辺はあらかじめご了承ください。
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米津玄師×DAOKOの「打ち上げ花火」がピーク
実は、この映画、観る前からちょっと期待してたのですよ。
だって、良すぎたんだもん。
米津玄師×DAOKOの『打ち上げ花火』のMUSIC VIDEOがさ。
美しい音楽と歌詞の世界。
そこに描かれるのは、少年と少女の束の間の恋。
多くを語らないからこそ、
(きっとこの少女の方が年上かな?)
とか
(もしかして、病気で余命わずかなのかな?)
とかいろいろ想像もできる。
5分に満たない映像だからこそ。
そこには、どうしたって説明しきれない余白があるし、
観ている人それぞれが、断片的な映像のイメージに、その空白に自らの少年時代の思い出を投影し、無意識のうちに美しく昇華させ、彩るのだと思います。
だから、もしこれが、Eveの『僕らまだアンダーグラウンド』のように、映画のPVに見せかけた純粋なMusicVideoだったら文句なしな出来栄えなのですが…
感想1:期待をすべて下回ってきやがって…
正直、かなりガッカリしました。
もし、米津×DAOKOのクリップを観てこの映画に興味を持ったのなら、悪いことは言わないから観ない方がいい。

きっと、MUSICVIDEOで感じた感動がこの作品のピークですから。
なんというか、すべてが薄っすい、そしてペラい。
少年にせよ、少女にせよ、そして周囲の友人にせよ、登場するのは何1つ特別なバックボーンを持たない平凡な子供たちばかり。
かといって、その設定を生かしたリアルな空気感が描けているわけでもなく(話の内容はこの上なく非現実的・妄想的なもの)、
少女が、胸を打つような悲しい運命を乗り越えようとするわけでもない。
少年が、ちょっと特別な勇気や優しさを持ってるわけでもない。
そんな風に、視聴前の私の予想は悉く裏切られていくのでした。

ちなみに。
他の人の感想もそれなりに気にはなったので
一応、この映画の各種レビューにもひと通り目を通してみまして。
その中で、際立って目についた
「少年役の菅田君が棒読み過ぎて入っていけない。」
という意見があったのですが・・・。
たしかに、それもあるんだろうけど、
なんというか、それ以前に設定が棒というか(笑)
たしかに絵はきれいなんだけど、
内容がそれにぜんっぜん見合ってなくて、大学生が子供の頃から観てきたジ〇リをはじめとしたアニメ作品のオマージュがやりたくてやりたくて1つの作品の中に脈絡もなく詰め込んだら、とてつもなく変てこりんで内容のない映画になっちゃったな、みたいな。
そうでも思わないと正直やってらんない(笑)
感想2:こいつにタイムリープ使わせちゃもったいねえ。
だって、ちょっと優柔不断などこにでもいる男子中学生(直道君)が、
ゲームで死ぬたびに「もう1回」つってコンテニューしてるみたいにしか見えねえんだもん(笑)。

直道じゃなくて典道(のりみち)君だぞ!

え?そうなの?
そんなの・・・今さらどっちでもいいよ。結局そのくらいにしか印象に残ってないってのがすべてでしょ。
ちなみに、私、大好きな主人公の名前は、決して忘れませんので。
たとえば、同じくタイムリープ物である細野守監督の「時をかける少女」とかなら、
まだ、時間を巻き戻さなきゃ!っていう切実さが感じられた。

自分以外の大切な人を守るためとかね。
そう、そういう大義があれば、時間巻き戻すという反則すれすれも許されるって気がします。
ただ、この作品に関していうと、
100%自分が好きな女の子とうまく結ばれるためっていう私利私欲のためですからね…
まさに、少年少女の願望を形にしたような、ただそれだけの映画で、
薄っぺらいと言われても、それはそれで仕方がないと思うのです。
ただし、映画批評したい気分ではないから
できれば、映画の批評なんて一生しないでいたいのですよ、個人的に。
いい映画でしたor私には合いませんでした。
作り手でもない個人が、言えることってせいぜいそんなことでしょ?
あそこはこうした方がイイ…細野さんと比べるべくもない…ってお前誰やねん!(笑)

っていう。
そういう一人ノリツッコミが心の中で成立しなくなったら、いよいよブロガーとして終わりだなーと思います。

ま、誰も読んでくれなくても、個人の楽しみとして書くとは思うけど。
さて。
この映画に関していえば、あまり感動もしなかったし、もう1回見るかといわれれば、すごく微妙。
でもね、せっかく90分という人生の時間を割いて観たのだから、

う〇こでした!
で終わらせたくはないじゃないですか。
というわけで、この映画から学んだ教訓ってなんなんだろ?って考えてみると…
一言で言うなら、
命みじかし!恋せよ男子!
ってことになるのかなと(あくまで個人の感想)。
この映画の基本的な展開としては、
ということを永遠繰り返しているわけですが、
そうなると、やっぱり
振られたらどうしよう…みたいな弱気なマインドで告白をためらう
こういうのって、
バッドエンドへ一直線な死亡フラグでしかないってのは…サルでもわかりますよね?

告白ためらったら…そりゃ当たり前だけど後悔しか生まねえよな。
まあ、そうですよね。
でも、「で?」っていう(笑)
後悔を抱えたかつて少年・少女を包摂できてない
後悔しないように、勇気をもってリスクを恐れず行動しよう。

好きなあの子には好きって伝えよう!
たぶん、それが後悔しない人生の秘訣だなんてこと、
誰だって心の底では分かってるんですよね。
だけど、やっぱり怖くて、悩んでいるうちに気づいたら時間だけが過ぎていく…みたいな。
そんな青春に対してどこかほろ苦い思いを抱えたイチ視聴者からすると、やっぱり
(じゃあ、おれたちの無念をこの映画はどう晴らしてくれるんだ…?)
という期待と不安の入り混じった気持ちで見るわけです。
そんでもって、
案の定、この映画にはどこにもそんなかつての少年・少女を救うやさしさのようなものは込められていない

と知る。
ただ、架空の少年と少女が、自己中心的なハッピーエンド目指してただひたすらタイムトリップを繰り返すだけかよ…。

あ、どうでもいいけど、なずなの声はぜったい広瀬すずより適役がいた気がする。
俺(わたし)達には、タイムトリップが無かったから、ハッピーエンドまでたどり着けなかったんじゃん!そら、あんだけコンテニューしまくったら誰だってハッピーエンドへのルートみつけるわ!
ただただ、ズルい…あり得ない。
そんな怨嗟の声が聞こえてきそうなア〇ゾンレビューですよ。
コイツなら許す!的な納得感は大事だと思うの
タイムリープもので大事なのは、結末よりも過程かもな…
映画を観終わった後、そんなことをふと思ったりしました。
見ている人が、
(もし、俺がコイツと同じ立場だったら…やっぱちょっとマネできねえかも、こいつの勇気スゲーわ)
そう感じさせるような、
そんな、ちょっとだけ常人離れしたなにかを主人公の少年がもっていること。
だからこそ、そんな応援したくなる要素を持った主人公だからこそ、

ユータイムリープ使っちゃいないよ!
と画面を見ながら心の中でつい背中を押したくなるのです。
そう考えると、
できれば、この映画の主人公である典道君にも、
そういうエ〇ヤ的資質をもうちょい色濃く持たせてほしかったかな。
余談:最後の最後でステキなレビューに救われた
ただね。そうはいっても最後は、
「なんだかんだ観てよかった。観終わってみて、ちょっとだけ自分の中に勇気が生まれた気がするから(キリッ)」
そんな風に笑って終わりたいじゃないですか。

あはははは。
そんなことを考えていると、見つかるものですね。
ステキなレビューが。
クソミソに書かれた感想が多い中にあって、
白眉というか、本当にこの映画を大事に思って書かれたんだなーという気持ちが伝わってくる内容で…。というわけで僭越ながら全文引用させていただきます。
私はもちろん、多分この映画自体もこのレビューに救われたんじゃないかな。

ただし、強烈にネタバレしてるので、これから作品を観る予定の方は、ぜひ見終わった後で読むことおススメします。
【ネタバレ】この作品をよく理解したいという方へ【考察】
この映画、実はとっても面白いです! 公開当時、映画館で2回、Amazonで3回目を見ましたが、見るたびに新しい発見ができる素敵な作品です!
この作品、中学生の少年少女の恋の物語ではありますが、テーマは恋とか愛とかではありません。ズバリ「勇気を持って一歩踏み出すことの大切さ」についてのお話です。強いて別の言葉で言えば「青春」と置き換えられなくもないですが、青春の葛藤の中でも、明確に勇気についてフォーカスした物語だと言えます。
このテーマを読み解くヒントは、序盤から散りばめられています。
物語とは得てして、アンチテーゼから語られるものです。つまり、勇気の反対です。
水泳競争で負けたことをなずなのせいにする典道。なずなとの約束をすっぽかす祐介。頼りない男子が自分の保身のために、好きな女子を自分から手放してしまいます。
つまり勇気が持てず、自分の意思を貫けなかったのが、現実世界での失敗でありIFの世界に飛び込む動機になっています。もちろん、そもそもは典道が水泳競争で負けたことから始まりますが、大事なのはそこではありません。
ちなみにこの2人の男子、(セリフでの説明はありませんが)登校日に学校に行きたくなくてトイレにこもっていたり、振られたら恥ずかしいから告白しないと言ったり、ことあるごとにチキンっぷりを披露しています。
現実世界での失敗からその後典道はいくつかのIFの世界を渡り歩きますが、完全に勇気を持てたわけではなく、なおかつ祐介やなずなの家族に邪魔され、失敗を重ねます。そして最後には、なずなと別れなければならない現実から目を背け、誰にも邪魔されない世界になずなと閉じこもりたいと言い出します。ケッコー長いこと典道はチキンのままなのです。もちろん、誰しも共感できることであり愛すべき欠点ではあるのですが。
一方なずなは「勇気」のテーマは背負っていません。あくまで典道が勇気を持つまでの物語です。しかしなずなもまた、ヒロインとして典道と同じくらい欠かすことのできないキャラクターです。
本心の見えにくいなずなですが、典道のことが好きだと言う気持ちは終始変わりません。典道と駆け落ちできるとわかった時のなずなの笑顔の可愛らしいことといったらありません。
しかしなずなは典道が自分のことを好きかどうか、あるいはどれほど好きかを分かっていません。そのため、自分の駆け落ちのための都合のいい相方として、典道を振り回してしまうのです。好きな相手に嫌われたくないから、そっけない態度で距離を取ってしまう、という心理です。しかし最後のIFの世界で、なずなは典道が、自分に「ずっと一緒にいたい」と言ってくれる存在であることに気づきます。そして典道に、「ねえ、泳ぎたくない?」と言って一人海に飛び込みます。本当に私が好きなら追いかけてきてよ、という女心です。本当は嬉しいくせに、いじらしくて可愛いですねえ。
ところで、何故なずなは駆け落ちをしたかったのか? ここではなずなの母が関係してきます。元々なずなとなずなの母は、一緒にカラオケに行っていたという発言から、仲良し親子であることが分かります(仲が悪かったらお母さんのことをママなんて呼びませんしね)。
にも関わらず、母は再婚引っ越しと、なずなに相談もなく決めてしまいます。なずなは母に、自分が子供だから蚊帳の外に追い出されたのだと憤り、私はもう子供なんかじゃない! と反発しようとしたのです。つまり、駆け落ちとはママへのアピールだったのです。これはママへの愛情の裏返しであり、だからこそ「分かってる。家出なんかできないし、(本気の)駆け落ちなんかできっこない」のです。
駆け落ちが成功しようが失敗しようが最初から一夜限りのつもりだったなずなは、典道に「ずっと一緒に」と言われながら、自分から別れを切り出します。
かたや典道ですが、最後のIFの世界に来てもなお、なずなが自分に好意を持っていることには気づけていません(確信を持てていないと言ったほうがいいかもしれません)。そのため、なずなに別れを切り出され、なずなに会えるのもわずかという時になっても、チキンが発動して告白の言葉が伝えられません。
そこで背中を押すのが、花火と間違って打ち上げられ、砕け散ってしまった「もしも玉」です。もしも玉の破片には全てがうまくいった場合のIFの世界が映し出されます。それは叶わない夢だからこそ、典道にとってなずなが大切な存在であることを、典道自身に再認識させます。
そして典道はなずなを追って海に飛び込み、2人は、いつかきっと再会することを約束して別れるのです。エエハナシヤー
しかし、ここで問題があります!
それは、「現実世界のなずなはIFの世界のなずなの記憶を持っていない」ということです。
せっかく再会を約束したのに、現実世界のなずなは祐介に約束をすっぽかされ、典道と駆け落ちできないまま失意のうちに街を去ろうとしているのです。これは、最後のIFの世界で、なずなが現実世界で駆け落ちに失敗したことや、それまでのIFの出来事を「なんの話?」と覚えていなかったことから推察できます。このことを知っている典道は、現実世界の、登校日の、なずなと水泳競争をするずっと前の時間に帰ってきて、なずなに「勇気を出して」告白をしに行くのです。あるいは、自分から駆け落ちに誘いに行ったのかもしれません。いずれにせよ、ラストシーンで教室に典道となずなの姿がなかったのは、そのためです。こうして「勇気を持って一歩踏み出せた」ことで、無事、ちょっぴり切ないながらもハッピーエンドを迎えることができたのです。
というのが僕の解釈です。僕も初めてこの映画を見たときは理解できなかったので、批判的な感想を持たれた方の気持ちも分かります。しかし駄作と決めつけてしまうには、あまりにも惜しい作品だと思うので、このレビューが一人でも多くの方の参考になればと思います。
長文駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。 ー低評価に嘆く人ー

一瞬うつるナズナの花に、欠席したのりみち…あ
そうか…ラストシーンには、そんな意味があったのか…。
このレビューのおかげで、製作者が作品に込めた思いをはじめ、初見では気が付かなかった多くのことを発見&理解することができた気がします。

てか、映画とこのレビューはもはやセットで販売した方がいいレベル!
やはり、この映画のテーマは「勇気」「怖くても一歩前に出ることの大事さ」なのでしょう。
もし、その理解が製作者の意図と違っても構いません。
少なくとも私がこの映画から得た教訓としてはこれで十分満足、お腹いっぱいです。

そんでもって、
もし、この映画が単行本化されたら、ぜったいあとがきはこのレビューで決まり。そう思わずにはいられない名文に出会えたことが、この映画とセットで得られた一番の収穫かもしれませんね。
それでは、また。