よーそろー、面舵&取舵…海軍用語を海底二万里分調べてみた

Jベルヌの『海底二万里』という小説。

その中で、エイブラハム・リンカーン号という船が、突如遭遇した得体の知れない怪物から逃走をはかるシーンが登場する。

そこで、ファラガット艦長が

「取舵(とりかじいっぱい)、エンジン、逆回転!」

という指示を出すのだが、どうもこのエンジンを逆回転させるという意味が分からない…。

エンジン逆配転≒ブレーキ

船には、ブレーキが無い。

調べてみると、そんな意外な事実が判明した。

参照ページ:─ 逆転機(舶用主機) ─

…たしかに、地面を走る車と違って、もし仮に船にブレーキがあったとしても、ピタッと止まるのは難しそうである。

じゃあ、船が止まりたいときは、どうするのか?

ということの答えが、どうやら、このエンジン逆回転という仕組みらしいのだ。

なるほど。

アニメなどで培った私のイメージが間違っていなければ、船はスクリューを回転させて推進力を得ているはずである。

この本の初版が発行された年が1872年だから、その頃は、おそらく蒸気船が主流だろう。

ワンチャン、ディーゼルのピストンエンジン搭載の船があったとしても、

⇒「蒸気はすぐに逆流し、エイブラハムリンカーン号は左舷を内にして、急速に半回転した。」という記述からやはり蒸気船だと判明。

どっちにしろ、スクリューを逆回転させる際には、エンジンそのものを逆回転させていたはずだ。

つまり、

「エンジンを逆回転させよ!」

という指示は、ここでは

「スクリューを逆に回して、減速せよ、ブレーキをかけよ!」

という意味だったのだろうな、と解釈しておくことにする(間違ってたらアレだけど、多分大丈夫)。

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面舵(おもかじ)と取舵(とりかじ)の違い

ちなみに、このシーンでは、

「取舵いっぱい!エンジン逆回転!」

という指示により船は減速、そして左回りに半回転(180度)、

そこから今度は、

「よっしゃ、面舵いっぱい!エンジン正回転!」で全力ダッシュで逃走という流れが描かれている。

せっかく船の話題が出たのだし、

念のため、取舵と面舵の違いについてちょっとだけ触れておこうか。

面舵

ウィキさんによると、

面舵(おもかじ、英語Starboard)とは、船舶の航行において、進行方向を転ずること。

らしい。

実際の操船では“おぉぉかぁじ”と発声する。なんて、ウソのような説明までなされている。てかマジ?(笑

他にもウィキには語源とかも丁寧にのっているので、興味があれば見てもらえればよろしいんじゃないかと。といいながら、少し気になったので、チラ見してみると…

方角を十二支に分けた場合のの方向(東、北を上にすると右)に舵をとることから、卯の舵(うのかじ)が徐々に転じて面舵(おもかじ)と呼ばれるようになったとされる[1]

英語では Starboard(スターボード)という。これは、昔の船では舵を取るための板(Steer Board(ステアボード))が右に設けられており、これが訛って右舷側に舵を取ることをStarboard(スターボード)と呼ぶようになったとされる[1]

だそうで、なるほどなるほど。もとは卯の舵だったのね。

取舵

取舵(とりかじ、英語Port)とは、船舶の航行において、進行方向を転ずること。

つまりは面舵の逆ね。

先ほど、小説の中で登場した取舵による左旋回という描写も、これで意味が理解できたことになる。

ちなみに、実際の操船では“ぉぉりかぁじ”と発声する、というウソみたいな説明は面舵のときと一緒。

これは号令を、甲板上の強風でも聞き違いされないための工夫であり、わざわざ明らかに異なるイントネーションとしたもの、だとか。

ホントだ、確かに「“ぉぉりかぁじ”」言ってる(笑

取舵の語源

これは、

方角を十二支に分けた場合のの方向(西、北を上にすると左)に舵をとることから。英語ではPortという。これは、昔の船では、舵が右側に設けられており、舵のない左舷を港側にして接岸することが多かったため[1]

だそう。つまり酉舵が取舵に変化したのね。

ちなみに、英語圏では、1928年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約で統一されるまで、帆船では「左への旋回」を意味するStarboardが、蒸気船では「右への旋回」という全く逆の意味でつかわれていたらしい…。

一節には、その混乱が原因でタイタニック号の衝突事故が起こったという話まである。てか、なんでそんな紛らわしいことを…きっと、頑固なお偉方が妙な意地を張りあってたんだろな。

なんとなく、Bリーグ発足前の日本バスケ界を思わせる。

ホントこの人がいてくれてよかった。

じゃあ、船を直進させたいときは?

ちなみに、戦艦モノに限らず、いろんなジャンルの作品でよく耳にする「よーそろー」という言葉。

正しくは「ようそろ」と書き、そのまま船を直進させよ!という指示を表す。

この言葉、その響きから外来語かと思いきや、実は江戸海軍からの名残で、

もともとは、「宜しく候(ろしくう)」が変化したものだそうである、何とも和テイスト(笑

また、旧日本海軍や海上自衛隊では、ここから転じて、「了解」「問題なし」という意味で復唱される。まさに、コール&レスポンス。

なお、英語では、(Keep her) steady!(船の進路をそのまま保て)がこれにあてはまる。

ようそろ、面舵、取舵。

これで、一応、船を「直進」「右旋回」「左旋回」させるための呪文はマスターしたことになるわけだ。

ほとんどの人にとって実生活で使いどころがないのが玉にキズではあるが(笑

ちなみに、後ろに下がるための特別な用語はなく、普通に「後進」という。

後退は敗退を表すので後進というらしい⇒って十分特殊な気も・・・。

というわけで、今回はこの辺で。

それでは、また。