料理番組。
それは、今も昔も、洋の東西を問わず、視聴率とはおよそ無縁の…まあ、無縁ではないか。
しかし、特にヤマもオチもないのに、常に安定して続いているお化け番組である。
なんて、思わずちょっとおどろおどろしい導入で始めてしまったが、
料理番組のすごいところは、扱うネタがほぼ固定されているにも関わらず、あたかもオチを知られている漫才を繰り返しては笑いを誘うベテラン漫才師のような老練さで、長年一定数の奥様達から支持され続けているところだ。
というわけで、今回は、
あの奥さん、また料理番組見てはるやん…テーマ肉じゃがやのに、昨日も肉じゃが作ったって言うてはったのに…。
と題しまして(?)、
なぜ、あの奥さんは、レシピを知っている料理番組を見続けているのか、その理由をちょっとだけ考えてみたいと思う。
単純に、肉じゃがの作り方を知したいから
最初に考えられるのが、この理由。
番組を見る理由としては、一番素朴なパターンですね。
例えば、前日の夜に、息子や旦那さんから、
「今度、肉じゃが食べたいな~、作ってよ。」
なんて言われていて、ちょうどよくテレビでそのレシピを扱っていたから、これ幸いとメモなんか取りながら真面目に拝聴。 特に、新米主婦ならあり得る話という感じ。
ただ、ある程度料理経験がある方で、肉じゃがの作り方を知らないというのは、まあ、無いんじゃないだろうか。
ましてや、昨日肉じゃがを作ったばかりの奥様が番組を見る理由はこれではない(笑
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そう、そうなのだ。
肉じゃがのレシピを紹介する料理番組を見ている、あの奥さんは、
自分が初めから知っているレシピを扱っていることは百も承知で、それでも、あえて、その番組を見ているのだ。
そこには、もっと別の何か深~い理由があるはずではないか…。
ということで次に考えられるのが…
いつものレシピに一工夫されてたパターン
肉じゃがのような、いわゆる家庭料理の定番と呼ばれるおかずは、
基本的に、料理番組では何度も何度も擦(こす)られていて、フツーに作ったのでは、もはや新鮮味も何もあったものではない。
そこで、視聴者を引き付けるためによく見られる構成として、いつものレシピにちょっとイレギュラーな要素を加えてひと工夫するタイプの番組がある。
例えば、肉じゃがであれば、豚肉を牛肉や鶏肉に変えてみたり、ショウガやニンニク、あるいはクセの強い香辛料を加えてみたり、トマトを加えてちょっとイタリアン風にしてみたり…。
そのちょっとした真新しさに惹かれて、気づいたら15分くらいテレビに釘付けなっていた、ということは、もしかしたら、あるかもしれない。
出演者の掛け合いが好き
「あの料理研究家は、話が面白いから…正直料理とかは、まあ、どうでもいいとは言わないけど、でも、もし、仮にテーマが鮭のムニエルだけをつくる!だったとしても、私は見ると思う(笑」
長く続いている料理番組には、このタイプの番組が割と多い。
料理のつくり方とかは、まあ、一応料理番組だから、やるけどさ…という感じで8割型トークショーである。
よく、女性は何を話したかではなく、話をした時間そのものに満足を感じるというけれど、このような主婦層に人気の番組は、そんな女性心理を巧みについている、とも言える。
また、トークショー型の派生形として、イケメンが料理をするというタイプの番組も最近つとにみられるようになった。これは、まあ、考えなくても奥様方が食いつく理由はお分かりだよね、という感じなので、あえてノーコメントで(笑
大人が料理を作っている光景そのものが癒し
最後に、一番、根源的ともいえる理由について。
子供の頃、朝起きるとお母さんが台所で卵焼きを焼いていたり、お味噌汁を作っていた。
そして、今でも、その時のことを思い出すと、何だかホッとするような温かい気持ちになる。
料理をしている母の後ろ姿が、なぜか無性に好きだった。
そんな子供の頃のいい思い出。
料理番組には、そんな誰しもが抱える郷愁を掻き立てる何かがあるんじゃ…と、私などは勝手に思ったりしているのだけれど、
多分、何か本能的で消えることのない温もりへの憧れのようなものが深層心理の奥の方にあって、それが、おじさんやおばさんが料理をする様子を目にすることで、いい感じで刺激されているのではないだろうかと。
まあ、そういうモロモロひっくるめて、きっと、あの奥さんは、
いい大人が料理している様子を、童心に帰りながら、どこかホッとした気持ちで眺めているのかもしれない。
意外過ぎたアンケート結果
最後に、今回のテーマについて、
ちょっと気になったので、試しに知り合いの女性何人かに、
Q: あなたが知ってるレシピを扱う料理番組を見るとしたらなぜ?
ということでアンケートをとってみたところ…
一番多かった回答は、
「う~ん、暇だから?」
でしたとさ、何事も考え過ぎはよくないね、というお話。
…にしても、一人くらい質問の意図をくんで、もう少し真面目に答えろし。
…いや、私の聞き方が悪かったのか(笑
それでは、また。