深夜にテレビをつけると、
「五味太郎はいかが?」
そんなちょっとふざけたタイトルのドキュメンタリーが始まった。

…ゴミ太郎…?
大変失礼しました。
これほどインパクトのある名前(一度聞いたら忘れない)は久々。
ただ、五味太郎さんの名前を知らない人でも、その作品のどれか1つは子供時代に目にしたことがあるのではないだろうか。何せこれまで400冊以上の絵本を作ってきたというのだから。
五味さん「人は冗談を言うために生まれてきたんだと思う」
番組の序盤で五味さんがボソッとつぶやくように番組取材陣に語った言葉。
正確な言い回しを細部まで覚えていないので、細かいニュアンスが違ったら申し訳ない、と断ったうえで、こんな感じのことを話していた。
「みんな人生というものを重く考えすぎているんじゃないか。ボクは人って冗談を言うために生まれてきたと思っている、人生ってそのくらいのもんだと。今の世の中もそうだし、これまでの人の歴史を振り返っても、人生はこうあるべきと考え込んで暗くなってきた気がする。」
たしかに、僕らが生まれたのなんて、本当に偶然でしかない…だって、3億個ある精子の1個がたまたま受精できたって話だし(これって下ネタ…?だったらごめんなさい)。
と考えると、多くの兄弟姉妹を代表して、『よのなか』とかいう名の妙なテーマパークを観覧する機会を得た!
くらいに思って好きに楽しめばいいような気もしてくる。

なんか、とりあえずいろいろ見てまわったけど、正直、微妙だったわw
死ぬときにそんな感想を持つのだってもちろんありだ。
自分の感性を大事に無心で素直に対象と向き合う
「子供たちは本当に優れた読者なんだ。」
これも五味さんの言葉で印象に残ったもの。
子供たちは、こう読むべき!とか
作者に寄り添って…なんて考えずに無心で本に向かう。
つまんない!おもしろい!
自分の感性をフル稼働させて、正直な感想を口にする。
てことで、自分の子供時代の記憶を振り返ってみると、正直あまり覚えていない。
物心ついたころの記憶の中の自分は、
「子供ってこんな風に振る舞うのが正解で、こうすると大人受けするんだろ?」
みたいなことをすでに考えている子供だった気がする。
それ以前の、いわば無心時代のことはもしかしたら、自然と忘れてしまうようにできているのかもしれないな、と思った。
無心ゆえに記憶にも残らない。
先生のいうことを黙って聞く大人になるな
番組内で、初等教育の話にテーマが及んだ時の五味さんの言葉。
『今の教育には違和感がある。結局「お前らは黙ってろ!だまって先生のいうことを聞いとけ!」自分で生意気にものを考えるな!
これって、要するに兵隊をつくるための教育だよね。』
今でいえば、いわゆる企業戦士ってやつを大量生産するための教育ってことになるのだろうか。
もちろん、今は自分の頭でモノを考えることが求められるから、と義務教育段階から思考力を鍛える教育を…でもそれも結局個人個人が自分らしい人生を送れるようにという思いやりからではなく、国家にとって都合のいい人材を養成するため…と考えるとやっぱり違和感がある。

じゃあ、どうしたらいいの?五味さん!
「逃げちゃえばいいんだよ、教室からさ。」
まさに目から鱗、なんで、僕らは教室から逃げ出すことにあれほど罪悪感を抱いていたのだろう。
(この場所も、目の前でしゃべってる大人もなんか変だな…)
自分のセンサーがそう警告を発しているのに、そのサインを無視して苦しさを押し殺して黙ってじっと座っている。
そうしているうちに、みんな自分本来の感覚や自由な発想を見失っていく。
だったら、そうなる前に逃げたらいい。逃げるが勝ち。
逃げることを悪だと思って病んでしまうくらいなら、どんどん逃げる。
余談:フィリピン人に自殺者が少ない理由
そういえば、以前フィリピン人に自殺する人がほとんどいないというウェブ漫画を読んだことがあった。理由は、フィリピン人は苦しくなったらサッサと逃げるが習慣になっているからなんだって。

シンプル!
もちろん、真面目で責任感の強いフィリピン人もいるだろうから一概には言えないだろうけど、
ただ明らかに日本人は世界でも有数の逃げることを悪とみなす価値観に縛らている国民ではないかと思ってしまう。
フィリピン人の中には、まともに定職に就いていない人も相当数いて、収入だって日本人の何分の1とかなんだけど、それでも人生を悲観することなく楽しく暮らしているのなら、ぜひともそのマインドセットは参考にしたいよね!というちょっとタメになる…人にはなるかもしれないお話。
まとめ
人生なんて、冗談を言って誰か1人でも笑わせることができたらそれでいい。
世間様に認められる仕事について、マイホームを建てて、家族をもってとか、一家の血筋をとか、ウッセ!w
てな感じで、
もっと自由でいい、苦しくなったら逃げたらいい。
そんな意見も聞いたうえで、
余白の多い、読者に多くを委ねる五味さんの絵本を見ていると心がスーッと浄化されていく気がする。
そして、自分の感性であれこれ考える子供時代のセンサーがまた再起動してくるような喜びがある。
同時に、自分が気づかないうちにいろんなもんに囚(とら)われていたなと再確認もさせられる。
絵がうまくなくても漫画を描いたっていいし、本を読まなくても小説を書きたかったら書いていい。
そんなベタなトピックを再確認できたのもよかったけど、
単純に五味さんの描く絵本の世界に頭をつっこんだ1時間がものすごく豊かだったなぁ・・・。
あと、五味さんの飾らない人柄がとても尊くて…やっぱ自然体で生きるの大事ですね。
ではまた。