ネタバレ【恋は雨上がりのように】~ベタな恋愛模様と蛇足~

マンガ・アニメ

 

前々から、その存在は視界に入ってはいたんだけど…

女子高生と中年男性の話…と聞いて皆さんなら何を連想しますかね?

 

親子の話?

現代版レオン…ちょっと訳ありな2人が交錯しながらハードボイルドな展開に?

 

少なくとも、まさか親子ほど歳の離れた男女の恋を描いた作品だなんて、それだけはありえないと思っていたのにそのまさか、である。

女子高生がおじさんに恋をするという、現代アニメではありえないほどストレートな作品だったのである。

そりゃ、それだけド真ん中に投げ込まれたら逆に見逃すわ…。

 

高校生の恋愛を描いたアニメは腐るほどあれど、どれも女の子は自分じゃない誰かに恋をしていて、あるいは、アイドル的な商業主義的な童貞ホイホイの匂いがして、どうしても敬遠してしまう自分がいたのだが。。。しかし、このアニメ一味違った。

 

繰り返しになるけれど、

なんたって、美しい女子高生が恋するのは、親子ほども歳の離れたおじさんなのだから。

 

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結末なんて、最初から分かり切っている。

 

そりゃ、フィクションだから、歳の差なんて気にしないでくっついちゃえばいいじゃん、ということも言えなくはない。

ただ、その瞬間に、この物語は多くの人にとって絵空事になってしまう。

だから、おじさんは、女子高生の想いに応えるわけにはいかない。

 

この二人が結ばれないことは、この物語がギャグの波にのまれて藻屑と消えないための防波堤なのだろう。

しかし、かといって、女子高生のちょっとした気まぐれに振り回された末に放り出されては、あまりにいたたまれない(あ、もちろん、おじさんが。)

 

 

きっと、どこか無意識で求めていたもの

恋する少女の輝く瞳。

30年の時を超えて、ほんの束の間、少年に戻るおじさん。

そんな奇跡のような瞬間を、一話また一話と手に変え品を変え見せられるだけで、もう十分なのである。オッサンを目の前に頬を赤らめるJKを目の当りにしたら、もう言葉なんていらない(笑。

 

余談だけど、あのキラキラ&ポワンポワンな演出考えた人、天才です(笑

 

そしてまた、80年代のアニメ作品のような(誉め言葉)ベタな作画がいいのですよ、真っすぐで、変に冷めてなくて。世代的に、リアルタイムでは見れていないんだけれど、絵柄も相まって、あきらを見ているとなぜかラムちゃんを連想してしまった。

押しかけ女房のような雰囲気とか、冴えない男でも、無条件に愛してくれる感じとか。きっと、心のどこかでこんな女の子を求めていたのだと思う。

 

恋と呼ぶには、あまりに清々しい

実は、店長(あきらのバイト先のファミレスの店長なのでこう呼ばれている)には作家という夢があり、あきらには陸上選手としての恵まれた才能と、そしてその先に広がる未来がある。

立場も年齢も全く違う二人だからこそ、お互いの背中をポンと押すことができたのだろう。

 

あきらは、陸上の練習中にアキレス腱断裂の大ケガをして塞ぎこんでいるとき、ファミレスで店長と出会った。落ち込むあきらに、コーヒーをおごり、手品を披露した店長。その紳士然とした優しさに触れた瞬間から、あきらの恋は始まったのだろう(まあ、これも一種の吊り橋効果ってやつか?)。

当初、この作品は、少女が大人の男性に支えられながら、束の間の雨宿りを終えて、また飛び立っていくまでを描いた作品だとばかり思っていた。筆者の中で、原作者が女性だから、きっと女性目線で描かれた作品なのだろうという思い込みがあったのかもしれない。

 

しかし、店長もまた「あなたの小説を読んでみたい」と嘘のない言葉で背中を押されることで、かつての夢に再び向き合う情熱を呼び覚まされていく。

 

奪うことなく、縛ることなく。

何とさわやかで、瑞々しい関係性だろう。

 

とまあ、以上が11話まで一気に見てみての感想であるが、次回当たりいよいよ最終話となるのだろうか。そこであきらと店長がどのような決断をするのか、ふたりの恋の行方は?

 

高評価につられて何となく見始めたアニメだったが、よもや、これほど美しい作品だったとは…。

 

追記)12話まで見終えての感想。

 

やはり予想通りというべきか、お互いに夢(自分との約束)を果たすために、歩き始めるという結末だった。ただ、これで2人の関係が完全に切れてしまうのではなく、何か数年後に再開することも予感させるような余韻を感じさせる終わり方は、後味さわやかで悪くない。

とはいえ、45歳のおじさんが書き上げた小説が『恋は雨上がりのように』ってのは、ちょっとどうなんだろう。これまでの人生の集大成がこれで、この作品で中年男性が文壇デビューはさすがに…。

 

最後に。

もし、この物語が、少女が傷ついた羽を休めて、飛び立つまでの束の間の恋の話、だったとしたら…タイトルは『恋は雨宿りのように』じゃないとおかしいんじゃないの?

最初から11話まで私の中には、ずっとそんなモヤモヤが消えずに残っていた。

しかし、最終話まで見終えて、それは見事に霧散。

この”恋が雨上がりのよう”だった意味がようやく理解できた気がする。