【レベル3】ぼっち飯から孤独のグルメへ~”ネガぼっち”的刷り込みからの解放~

孤独力

最近、ひとり飯を楽しむ人が増えてきているらしい。

良きことだと思う。

 

その一方で、一人で食事をすることを”ぼっち飯”といって頑なに拒む人も多いと聞く。

 

基本一日に1度しか食事をとらない私なんかには考えられないことだが、中には知り合いにディスられたくないあまりに、貴重な食事をあろうことか便所で済ませる人までいるのだとか。

う~む、大分重症じゃねえか…。

 

というわけで、ランチメイト症候群にお悩みの勇者諸氏には、ぜひこの記事で紹介する『孤独のグルメ』という作品を一読して、マインドセットをリセットすることをおススメする。

 

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ひとり飯ブームの火付け役はやはり孤独のグルメか

ひとり飯という言葉に惹かれる人で、多分この漫画(あるいはドラマ)を知らない人はいないと思う。それくらい、最近のひとり飯ブームの火付け役と言ってもいい作品だ。

 

主人公の井之頭五郎は、個人で輸入雑貨商を営む30代後半~40代半ばと思しき、言ってみれば”オッサン”なのだが、

この作品は、そんな五郎の(ほぼ)食事風景のみを描いているという異色作だ。

当然、舞台は五郎が仕事の合間やたまの休日にふら~っとひとり立ち寄る食事処

 

オッサンの、食事風景だけを見せられて、何がおもしれえんだ!?

 

最初、この作品に出合った時は、アマゾンプライム会員なら追加料金なしで見られるにもかかわらず、

私自身、そのような思いから、ドラマ版の冒頭15分で一旦は見るのを断念してしまったのだが、その後なぜか大ハマりしてしまった(ただ、今は、見るたびに食欲を刺激されて困る…という別の理由で控えてはいるのだが)。

 

孤独のグルメは不幸な人間を生まない

 

では、どうして「山なし・オチなし・意味なし」この作品が、多くの人をひきつけてやまないのか。

 

例えば、恋愛をテーマにした作品なら、失恋した直後だったり、恋愛経験の乏しい人間には、多分刺さらない、ということがある。

また、友情に重きを置いた作品なら、親友と呼べるような関係性を持ち合わせていない人間には響かないかもしれない。

というより、およそ自分とかけ離れたところにいる(と感じさせる)キャラクター達を、いかにも肯定的に描かれると、間接的に自分を否定されているようで、拒絶感すら抱いてしまうかもしれない。

 

そこへ来て、この孤独のグルメという作品である。

登場するのは、どれも実在の飲食店ばかり。

おまけに、どこも気安く立ち寄れる大衆的な店ばかりである。

 

そして、作中には、愛も友情も、出世話も描かれることはなく(話の都合上多少触れられることはあっても)、ただひたすらに食事をするシーン、しかも一人飯のシーンばかりが描かれているのだ。

 

なんたる、安心感。

井之頭五郎は、決してファンを裏切らない。

 

ひとり飯を食うという行為はこれほど豊かなことだったのか

確かに、この作品にストーリーのようなものは存在しない。

しかし、描かれるのは人類にとって普遍的かつ日常的な食”というテーマだ。

 

今でこそ、食をテーマにしたドラマや漫画は珍しくなくなったが、

これほど、食というものを真摯に、余計な不純物をそぎ落とし、ある意味ではストイックに描いた作品というのも、この作品が世に出るまでは、それほど目にする機会はなかった(せいぜい、美味しんぼくらい)。

 

 

まさに、ひとり飯ブームの火付け役と言っていいだろう。

 

 

この作品は、一人で飯を食うことをテーマにしている性格上、どうしても心理描写で構成されるシーンが多い。

 

そして、そこに登場する数々の名言(迷言)に触れるたびに、

ひとり飯とは、こうも豊かで楽しいものだったのか、ということを再発見させてくれる。

 

 

「うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ」

そんな心理描写と共に、

大の大人が大汗をかきながら、一心不乱に焼き肉をかっ食らうシーン。

 

 

 

「ソース味って、男のコだよな。」

そんなことをひとり思いながら、ベンチでカツサンドを頬張るちょっとシュールなシーン。

 

他にも、

「腹もペコちゃんだし…」

なんていうお茶目なセリフが飛び出し、思わず深夜にこっそりマネして独り言を言いたくなるようなシーンまで(あくまで個人の感想)。

 

また、時には、ちょっと哲学的な香りのするシーンなども登場し、五郎さんのタダモノじゃない感を演出していたりして、これがまた五郎さんファン獲得に一役買っている。

 

ちなみに、このシーンでは、食事の最中、厨房で従業員をこっぴどく叱責する店主に気分を害した五郎さんが、思わず立ち上がってモノ申すという、普段の温厚さからはちょっと考えられないような異例なエピソードなのだが、

時おり思い出したかのように、このようなシーンが描かれることで、孤独のグルメは、単なるひとり飯漫画でありながら、ハードボイルドな男の色気漂う作品という独特なグラデーションを織りなしている。

 

ひとり飯ってカッコいいんじゃね?

 

孤独のグルメという作品によって、ひとり飯に拍がついたというか、ようやく免罪符が与えられたというか、

「あ、一人で飯を食べることって、全然やっていいことだし、何も引け目を感じることじゃないんだ。てかむしろカッコよくすらあるんじゃないか。」

 

そんな風に安心し、救われた人が相当数いたんじゃないだろうか。

 

一人で飯を食べる自由。そしてその幸福。

それは、誰しも平等に与えられたものだからこそ、その価値を堂々と肯定する孤独のグルメはこれからも支持され続けることだろう。

 

ちなみに、孤独のグルメは、お隣の国、台湾でも人気らしい。

その名も『孤独的美食家』

ドラマ化もされており、日本のドラマ版「孤独のグルメ」では松重さんが台湾出張した際、現地でニアミスするというニクイ演出も。

 

もし、この孤独のグルメブームがアジアのみならず、欧米の国々にまで広がって、BBQブームのカウンターカルチャーとして、アメリカ版井之頭五郎が誕生する、なんて珍事が起きようもんなら、最高に楽しいんだけど…ワンチャン、ないかなぁ…あ、もちろん、主演はキアヌ・リーブス様で(笑

 

 

それでは、また。

 

 

孤独力
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