【映画レビュー】『キッズリターン』~青春映画の金字塔がここに~

映画レビュー

 

青春という言葉を聞いて、アナタはどんなことを思い浮かべるだろう。

 

 

「あんちゃんさあ、青春ってこうじゃねえかな?」

 

この映画は、一言でいうなら、

青春とは?に対する天才・北野武からあなたへのメッセージだ。

 

 

もともとは、米津玄師らがお気に入りの映画に上げていた作品でもあり、ちょっと前に、菅田将暉との共演も話題となった『灰色と青』という彼の楽曲も、このキッズリターンをイメージしてつくられたものだという。

 

米津玄師がシンジで、菅田がマサルなのか、はたまたその逆か…。

そんなことを想像しつつ、映画と重ねながら改めて聞いてみると、また一層曲の理解が深まるに違いない。”青と灰色”ではなく、やっぱり『灰色と青』なのだ。

 

 

 

さて、肝心の映画だが、

結論からいうと、素晴らしい作品だった。

別々の道を選んだ二人の若者の挫折と葛藤、そして友情。

 

そのすべてが、キタノ・ブルーの美しい色調の中、紡がれていく。

 

若い、無垢な魂を待ち受けるのは、切なくて、容赦のない現実。

なのに、なぜかそれがとても美しい。また、観たくなる。

 

初見ということで、どうしても主役の二人を中心に観ることになったのだが、脇を固める登場人物たちにもまた、さまざまなドラマが用意されており、視点を変えれば、まだまだたくさんの発見がありそうである。

やや意外なところでは、若き日の宮藤官九郎や、やべきょうすけなどの顔も見られた。

また、エンドロールを見て初めて気がついたのだが、今は亡き大杉漣さんも出演していたようだ。

 

 

「オレたちもう、終わっちゃったのかな」
「バカやろう、まだ始まっちゃいねえよ」

 

彼らは、今日も現実という壁に向かいパンチを繰り出し続ける。朗らかに。

青春の”苦さ”と”熱さ”を知るすべての人のための映画。