以前ラジオで松ちゃんが
「なんかええねん!」
とベタ褒めしてた映画。
松ちゃんとクレヨンしんちゃんという砂肝とビッ〇ルのような異色の取り合わせ
のインパクトが脳裏から離れなくて、この度いよいよ視聴。

そういえば作者の方がお亡くなりになってもう10年以上も経つのかぁ…
結論:しんちゃんファミリーとジャイアンは映画になるとキャラ変しますよね
ネタバレしない範囲で映画のあらすじを簡単に説明すると、
正体不明の謎の2人組がつくる組織によって、大人たちが洗脳され子供化してしまう。
みんな仕事を放棄して、街中でなわとびしたりベイゴマをやったり、自分たちが少年少女だった時代に帰ってしまっているわけです。
まあ、その変な状況を元に戻そうと子供たちが奔走する話なんだけど、
とにかく特筆すべきはこの映画で描かれる昭和の街並みのなつかしさ。人情があふれて、人と人が密に触れ合う感じ、明るい21世紀を夢見て希望に満ち溢れた発展途上の元気なころの日本が見事に描かれているわけです。
そういう時代を知らないボクですら懐かしさを覚えるほど。
だから、そんな昭和レトロが永遠に続く夢のオトナ帝国を作り上げようとしたケンたちの気持ちなんとなくわかる気がします。
右肩上がりの希望に満ちた時代が終わって、これからは失意に打ちひしがれながら下っていく。
そんな未来はいらない。
彼らはそれを外の世界と呼んで忌み嫌うのでした。
さてさて。
今回の主役は…しんちゃんの父ちゃんこと野原ひろしですね。
ボクがクレヨンしんちゃんを見始めたのはそれこそ5歳とかそんなもんだったと思うので、
当時、完全しんちゃんと同じ子供目線で、

ひろし…このダメ親父め
くらいに思って笑っていた記憶があります。
でも、年月を経て、自分もすでに父ひろし側の立場でこの映画を観ていることに気が付いてハッとする(まだ父ではないけど)。
足は臭いしウダツの上がらな安月給サラリーマン…かもしれない。
でも、家族のために
汗水たらして、上司に頭を下げて働くこと。
というか、そもそもマイホームを建て、結婚して子供を育て…ということを当たり前のようにやっていること自体が実はすごいことなのだと、子供だったら思いもしなかった感想を持つわけです。
「俺の人生はつまらなくなんかない!家族がいるしあわせを、あんたたちにも分けてあげたいくらいだぜ!」
多くの映画が、非日常や当たり前じゃない出来事をテーマにする中で、この映画は当たり前の幸せの尊さを説教臭くもなく、押し付けがましくもなく、
ムカつくくらい爽やかに感じさせてくれる、というか野原ひろしかっこよすぎか…。
この間、ツイッターを観ていたら
野原ひろしがトレンド入りしていて、何事かと思ったんだけど、この時代彼のような男性(父親)が実はすごく理想的なんじゃないかという話題で盛り上がってたみたい。
たとえば、普段は3枚目っぽいけど、決めるところはしっかり2枚目で決める感じ、ちょっとシティーハンターの冴羽獠(さえばりょう)的でもあるなと。

普段はユルっと抜けてる感じだけど、いざってときは頼りになる…まさに理想の父親像かもしれませんね。

逆はたくさんいそうだもんな。
そういえば、野原ひろしといえばこんな本もありまして、というのをこの映画きっかけで知りまして。
この映画ファンならきっと刺さる名言の数々が散りばめられていることでしょう…ってことでポチろうかな。
まとめ:幸せな過去の記憶と不確かな未来と
この映画のテーマをボクなりに解釈するなら、
いくら過去が輝いて見えても、人生は続いてく。僕らは立ち止まるわけにはいかない。
ということじゃないかと、思うのです。
確かに、子供時代は良かった。
何の責任もなく、ただ遊んでいればよかった。
でも、大人になればいろんな面倒ごとが押し寄せてくる。
家族を持てば、今まで感じなかったようなプレッシャーや不安も…
しかし。
それは同時に、かけがえのないしあわせでもあるのだと。
ここで野原ヒロシの名言に戻るわけです。
家族をもつ幸せ。
ボクはまだそれを感じたことがない。
結婚は人生の墓場だとか3大リスクだとか言われますが、
この映画を観終えた直後には、そんな余計な入れ知恵なんて蹴っ飛ばして、
恋愛して、結婚して、子供を育てていく、家族をつくっていくことは
それだけでかけがえのないしあわせなんだ…
と、もう1度子供の頃のように素直に感じてみたくなりまして…。
「いろいろあるけど、家族を持つっていいもんだぞ。」
とりあえず、こんなまっすぐなテーマを
ボクみたいなひねくれものにスーッと届けてくれる映画は非常に稀だと思いながら、出会えたことに感謝したのでした。ぜひ。
それでは。