以前、とあるインタビューで、イチロー選手が読書について尋ねられた際、
「実は、読書ってほとんどしないんですよね…。」
という答えをしていたことが印象深く記憶に残っている。
え?
あの、ミスターロジカル(私が勝手にそう呼んでいるだけ)のイチロー選手が!?
と、最初は、大分意外に思ったのを覚えているが、そのあと一呼吸おいて考えてみると、
中学生のころから、自分のスタイルを貫くことの大切さを自覚し、プロ入りしてからもコーチのアドバイスよりも自分の感覚を大事にしてきたイチロー選手なのだからな~と妙に納得していたんじゃなかっただろうか、それを聞いた時の私は。確か、そうだったはず。
問題は、”やった気”になっちゃうこと
読書をしないというイチロー選手の回答は、その一言だけにはとどまらなかった。
というより、インタビュアーとしては、さすがにお気に入りの一冊くらい聞き出せるだろうとタカを括っていたのか、すかさず、
「え?意外ですね~。では、本を読まれない理由は何なのでしょうか?」
と間髪入れずに質問を継いだのだと思う。
私なら、上司の顔がチラつき即座にそうするだろう。
この辺、やや記憶が怪しいのだけれど、この記事の要旨には影響がないので、あまり気にしないでいただきたい(笑
まあ、印象深いというか、大事なのは、なぜ本を読まないのかという問いに対するイチローさんの答えの方なのはいうまでもなく、
彼曰く、
「まったく、本を読まないということはないんですけど、苦手なんですよね、本って、あらかじめ答えが用意されるじゃないですか。そういうのが僕、ダメなんですよ(要旨)。」
だそう。
さらには、
「本の中にある回答に納得してしまうと、自分で経験したことじゃないのに、自分でやったかのような錯覚を覚えてしまう。それが嫌なんですよ。」
という発言もしていたように記憶している。
この辺、かつて自己啓発本にハマった時期のある私には耳の痛い話。
自己啓発本を読んでも成功できない理由はまさに、このインタビューでのイチロー選手の答えがすべて物語ってくれているのだろう。
じゃあ、読書って無駄なの?
いやいや、そうじゃないのよ、お客さん(笑
先ほどのイチロー選手は、インタビューでの回答の中で、
”答えの用意された”本を読むことへの疑問を口にしていた。
その答えは、あくまでその作者が自らの経験の中から導き出したものであり、その経験の部分をすっ飛ばして答えだけ理解した気になっても、結局何の役にも立ちはしないと。
ということは、ですよ?
要は、答えの用意されていない本であれば、読んでも意味があるってことでないの?とか思うわけですよ。
単純なことのようですけど、これって意外と真理なんじゃないかと(笑
それってどんな本かと聞かれれば、まあ、いろいろあるでしょうね。
もちろん、皆さんだけの1冊を自由に探してもらえればいいわけですけど、
タイムリーなところで、おススメを上げるなら、
とりあえず、
最近はやりのカズオ・イシグロあたりいかがでしょうか。
といったところで、今回はこのへんで。