どうも、レボログです。
今回は、
2015年にアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品『シチズンフォー スノーデンの暴露』をレビューというか…まとまりを欠いた雑感ですね。
眠れない夜に目を通すと眠れるかも…(笑。
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とにかくスノーデン氏の貴重なインタビュー映像は必見!
この映画、タイトルからお分かりの通り、
スノーデン氏が実際にインタビューに答える映像がふんだんに盛り込まれている。
マスコミに切り取られていない彼の素顔を垣間見れる映像はマジで貴重。
ウソ偽りないヤバい暴露の連続にドキドキがとまらない
スノーデン氏の口をついて語られた真実。
それはNSA(アメリカ国家安全保障局)の手による、
アメリカ国内外の市民に対してありえないレベルで行われている情報収集の実態だった。
電話、Eメールの内容、アマゾンの購入履歴、ネットの閲覧履歴、検索履歴…
そういうったものがすべて筒抜けになっているという。

これがSFじゃなくて、リアルな世界の話ってんだから怖い…。
ヤフー、グーグル、フェイスブック、あと多分LINEも…そういう企業の機密にアクセスしてそこから利用者の行動をすべて追跡できるようにしてるってんだから、まさに驚きの実態…。
しかも、スノーデン氏の暴露無くして、
この真実が明るみに出ることはなかったという怖さ。

おまけに違法な行為を働いたヤツはスルーで、それを暴露したヤツの身に危険が迫る恐さ。
かくいうスノーデン氏自身、
NSAに勤務していた当時は、待遇も快適で20万ドル(だいたい2000万円)以上の給与をもらっていたというから、自分の身可愛さだけなら黙って知らんぷりしとけばつつがなかったはずのところを、義憤に駆られてというか、自己犠牲も厭(いと)わずに立ち上がった姿勢はなんとも男前と言わなければならない。
ただ、本人の言葉を借りると、
これは自己犠牲うんぬんの話じゃなく、(彼自身を含めた)人々の知的自由を守りたかった。

そんだけ!
ということなのだそう。
事の本質を歪めるな!(ネタバレあり)

スノーデン氏…まだ30そこそこなのにインテリジェンス高え…
いや、知性というより人間的に成熟してるって方が正しい表現なのかもしれない。
そう強く感じたシーン。
それは彼がインタビュアーに対し次のように語った場面だった。
自分はこのニュースの中心ではない。
自分にフォーカスが当たることで、物事の本質が分かりにくくなってしまうことは避けたい。
自分も含め、登場人物や状況をすべて俯瞰(ふかん)したうえで、
どのような方法をとれば人々に真実をより正確に伝えることができるか…。
命の危険にすらさらされた状況にあるにもかかわらず、あの落ち着きですよ。
彼の言動のすべてから、怖いくらい高い知性と冷静さを感じずにはいられなかった。

久々に、エリートという言葉がぴったりな人を見た気がする。
私なら…、テンパりつつも自分の置かれた状況を整理して、
これからの身の処し方を考えるので精いっぱいだろうな。
それはともかく。
その後のスノーデン氏による一連の暴露に関する報道を思い出すと、
浮かんでくるのは、彼の顔のアップだけ。
まさに、
スノーデンというインテリ青年(イケメン)のスキャンダラスな暴露!
みたいな扱いでしかなくて。

結局、スノーデン氏が懸念した通り、
彼の素顔ばかりがクローズアップされて問題の本質はスゲーぼやけちゃったよなー。
こうなることは、きっと彼自身、予想していたのだろう。
だからこそ、ダメもとで
(できれば、僕にフォーカスを当てないでほしい…。)
と願うことしかできなかったのかも、なんて考えたりもした。

最近では、ロシアがアメリカと関係改善のための取引材料として
スノーデン氏を引き渡す用意があるなんて話も聞こえてきて、なんだか切ないっす。
スノーデン氏は、愛国者?それとも裏切り者?
よく、スノーデン氏をさして
アメリカ人の敵だとか、裏切り者!
ということが言われるけれど。
ただ、
家族や恋人との平穏な暮らしを捨ててまで、
厚遇された職を失うリスクを負ってまで、
いったい国を裏切って何の得があるのかねー?
と考えると、

ちょっとソレ違うんじゃね?
と思えてくる。

命がけって時点で、損得で言ったら絶対損でしょ?
スノーデン氏は自己犠牲ではないといったけれど、
私には、自己犠牲の精神なしではこんなリスクの高い行為に出ることは考えられないので。
国家の重犯罪だってのは彼自身が一番よくわかっていたはずだし。
それも、すべてはアメリカ国民に危機感を持ってほしいからなわけで、それって裏切り者っていうかむしろ愛国者的って考えるのが自然なんじゃないの?

という素朴な疑問でした。
とりま、
国家の重要機密を暴露した犯罪者=裏切り者!
という単純なレッテルを張って安心したい人たちには、
彼を敵視する前に、自分の置かれたヤバい状況をよく理解した方がいいんじゃないかなと。
ちなみに、
スノーデン氏は日本のことも心配してくれているみたい。
タイトルにもなったシチズンフォーとは

そうそう、ソレずっと気になってた。
映画の説明書きを読むと、
イラク戦争やグアンタナモ収容所についてのドキュメンタリーを製作したことにより、政府からの監視や妨害を受けてきた気鋭の映画監督ローラ・ポイトラス。彼女は2013年初め、コードネーム“シチズンフォー”を名乗る人物から暗号化されたメールを受け取るようになった。それは、国家安全保障局(NSA)がアメリカ国民の膨大な通信データを秘密裏に収集しているという衝撃的な告発だった。
とあることから、
シチズンフォーはどうやらスノーデン氏が、連絡した際に用いたコードネームだった模様。

まさにスパイ映画顔負けのリアル。
この映画を見た直後だから、大分偏った意見であるということをあらかじめ断ったうえで、個人として率直な思いを語るなら、スノーデン氏には、とりあえず無事でいてほしい。
損得を超えて、人々のために立ち上がった勇気ある若者が、
皮肉なことに救おうとした人々からもっとも誤解されたまま不幸な最期を迎えるなんて結末は、それこそSFという絵空事の中だけで十分だから。
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