※この映画には障がい者が登場しますが、最強です。油断してると、ズタボロにされて使い捨てられます。
とりま、最強障がい者鹿野さん(大泉洋)とそれをとりまく愉快で心優しい仲間たちとの笑いあり涙ありの物語!といえば、

何それ?ちょっと見てみたいかも、
と思ってもらえるのだろうか。
作り話だとしてもグッとくる話ですが、これが愛しき実話となれば…ねえ。
彼氏の職場を訪ねたらそこはハーレムだった
まあ、彼氏のボランティア先を訪ねてみたら、
筋ジストロフィーのおじさんがハーレムの王様よろしく女性介助者たちに股間洗ってもらって
「胸大きいね~」
とか
「筋ジス(トロフィー)なめんなよ!」
とかセクハラ&パワハラ発言を連発してたら

は…?何コイツ…キモッ…ヤバッ
と思いますよね、だいたい。
それで、目が合った瞬間、
「君かわうぃーねー、明日からボランティアに来てよ!」とか言われたら
もはや恐怖でしかない。
ただし、ここでこのワガママメガネに嫌悪感を覚えてみるのをやめてしまうのは…
ちょっともったいないかもです。
わがままに生きるには訳がある
この映画の主人公、鹿野さん。
映画タイトルどおり深夜2時に
「バナナ食いてえな、ね、買ってきて、バナナ」
と真顔でボランティアに注文するだいぶクレイジーなお方。

ただね、ちょっと考えてもごらんなさいよ、
ただでさえ弱い立場の障がい者がさ、健常者のボランティアと対等な立場で付き合おうと思ったらさ、ちょっとワガママで強気にいかなかったらどんどん雑に扱われちゃうよ?世の中いい人ばかりじゃないんだしさ?よく聞くじゃん、介護施設で給料もらって働いてるはずの職員が暴力ふるったりとかさ、ましてやボランティアだよ?タダ働きなんだよ?
とまあ、心の中の説教おばさんがそれらしいことを耳打ちしてくれつつ観ていたわけだけど、
人は無意識に自分より弱い相手にはマウントを取っちゃう生き物だと思うので、やはり鹿野さんもナメられたらダメだ!という意識をどこかにもっていたのだろうな、とか思うとあのワガママも自衛の手段として理解できる気がします。

それでも、直で言われたらイラッとするだろうけど。
ホンネを隠さず生きている姿がまぶしい※ちょっとネタバレ含みます
映画の中で、鹿野さんが高畑充希演じるボランティアの女性にプロポーズするシーンがありまして。
それをみんなが見てるパーティ会場でやるわけです。
「え?みんな見てるけど…」
と高畑充希演じる女性…あ、安堂美咲さんでした、も戸惑い気味なんだけど、
鹿野さんにしてみたら
「いや、俺はいっつも誰かに見守られながら生きてるわけだから、2人きりでのプロポーズとかムリなんだよ。」って話で。
この辺で、まあハッとするわけですけど、
つまり、鹿野さんは、常に他人と関わりながら生きなければならないわけですよね、24時間。
だから、他人がいるからと気持ちにフタをしてしまったら、
一生遠慮しながら、本音を覆い隠しながら生きなければならないわけで。

あー、オラもうそんなのいやだー
と人生のどこかで開き直って、
劇中の超(スーパー)鹿野が生まれたと思うとちょっと切なくもあります。
もしかしたら、いやきっと、
ボランティアとして鹿野さんをサポートしてくれている人たちは、そんな鹿野さんの痛みとかも理解したうえで母親や父親あるいは兄ちゃんや姉ちゃんのように、やさしく気難しい弟のワガママに付き合ってあげていたのかも…。
ちなみにこの作品は原作単行本があるらしく、鹿野さんとボランティアの方たちのつながりについてより深く知りたいという方は是非チェックしてみてください。

ボクも読みます。
とりま大泉さん演じる鹿野さんは魅力的過ぎましたw
スピーチでの笑いの取り方、
インタビューでの受け答えしかり。
もう、タレントのそれですよ。
もし、鹿野さん本人があんな感じの人なら、
そりゃ人気が出ないわけがありません。
ワガママだけど、愛敬があって、ユーモアがあって
そして時にものすごくやさしくて。でもってたまに弱さも見せるとなれば…
もう母性本能くすぐられまくりですよ!
他の視聴者がどう感じたかは分かりませんが、
ボクは鹿野さんの生き方に魅了されました。
健常者であっても、年齢や健康面の不安からいろんなことを諦めてしまう人もいる中、鹿野さんの最後まで夢を諦めない姿勢はものすごーく見習うところがある。

映画を観終わった後、
「そんなの全部いいわけだろ?俺を見てみろ!まだ無理だとかいうのか?」と心の中で鹿野さんにバーチャル説教されてみました(笑)
もし、今後人生で、いろいろ言い訳をならべてやりたいことをあきらめそうになるタイミングが来たら、
「お前、本音で生きてるか?」
という鹿野さんの言葉を思い出しつつ、自分の心に素直な選択をしようかと。
それでは、また。