まるで漫画の主人公!大倉颯太のプレイはそれほど圧倒的だった

バスケ

2017年8月27日「福井県営体育館」で行われた国民体育大会北信越ブロック少年男子バスケ。

石川vs新潟の一戦。

 

大倉颯太がすごかった…いや凄すぎた。

凄すぎてファンをやめたくなったくらい(笑
そのくらい…とにかくすごかった。

 

こんなとき、”すごかった”を連呼することしかできない自分の言葉の足りなさに歯がゆさを覚えるのだが、

今回は、

・私が目にした限りのこと

・そのときの混乱した気持ち

 

をお伝えできればと思う。

 

ただし、

最初に断っておくが、あいにく現地に観戦にはいけなかったので、youtube上にアップされていたものをこっそりと視聴した感想に過ぎないという点はご了承いただきたい。

「国体 バスケ」で検索すれば、たしかまだ出てくるはず(こっそり

それでよければ、どうぞ目を通していただけると嬉しい。

ということで、さっそく語らせてもらうとしよう。
 

全国屈指のメンバーをそろえたチーム新潟

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まず、目を引いたのは、なんといっても、チーム新潟のメンバーの豪華さ

そもそも、最近の高校バスケ界では、新潟県勢の躍進が目覚ましい。

その中でも、特に群を抜いているのが帝京長岡開志国際の2チームだ。
 
どちらも全国トップクラスの実力を持ったチームに間違いなく、福岡県とならんで、そりゃもう、県大会の決勝がそのまま全国大会の決勝カードになってもおかしくないレベル。
 
そんな激戦区である新潟代表のロスターを確認すると…
当然のごとくメンバーは全員、開志国際もしくは帝京長岡のメンバー(笑。
 
そして、先発ガード陣がこれまた豪華な顔ぶれである。
 
前回のウィンターカップでアシストランキングトップだったゲームメーカー祝(ほうり)をキャプテンに据(す)え、さらに現U19日本代表でスタメンを務める伊藤領が同じく先発に名を連ねる。
 
それだけでもヤバいのに、さらにインサイドには2メートルクラスの留学生を二人も要している。
 
さらにさらに、チームを率いるのは、現在千葉ジェッツ所属で日本バスケ界の顔でもある富樫勇樹を息子に持ち、本丸中時代には彼を指導した経験をお持ちで、現在は開志国際の監督を務める名将・富樫英樹氏という盤石ぶり(笑。
 
こりゃもう、笑うしかない。

対して石川県のメンバーはというと、
 
俄(にわ)かっぷりを露呈(ろてい)するようで恐縮だが、去年の国体で活躍したメンバー含め、
私が見知っているのは北陸学院の大倉颯太とその中学時代からの相棒、清水くらいしかいない。

おまけに、ロスターの平均身長は180前半といったところで、センターを務める選手も185㎝と決して大きくはない。

昨年の国体では、190㎝ながらクレバーなプレイで留学生を見事に抑え、大黒柱として活躍した小室というセンターがいたこともあり、チーム石川には、身長差を跳ね返す様なプレイを期待したところであるが…とか何とか考えているうちに、試合開始の笛がなった。
 

序盤からインサイド中心に攻める新潟

案の定、試合序盤から、新潟は留学生を中心に意識的にインサイドのミスマッチをつき得点を重ねていく。

一度シュートを外しても、オフェンスリバウンドからセカンドチャンス、サードチャンスとつなげ得点を重ねる。

対して、石川県はというと、チームオフェンスでは、なかなか相手を崩すことができず、清水がボールを運び、エースの大倉へとパスを供給してアイソレーションから得点チャンスをうかがうという狙いが明らかだった。

そんな中、序盤から大倉のシュートタッチは抜群によく、相手DFの一瞬の隙をつき、スリーポイントラインの外からでも苦もなく次々とシュートを沈めていった。

去年までは、どちらかというとドライブが得意なスラッシャータイプの選手という印象だったが、今年はそれに加え、高確率の3ポイントや要所で見せるポストプレイなどオフェンスのバリエーションはさらに広がったという印象で、まさに高校レベルではアンストッパブルな選手へと確実に進化を遂げていた。

彼の活躍もアリ、序盤から中盤にかけ、当初の予想に反して一進一退の攻防が続いていった。

ただ、両チームのオフェンススタイルの違いは明らかだった。
インサイドで高確率な得点を狙う新潟に対し、石川は、大倉の個人技に頼らざるを得ないという展開が続いていた。

バスケットボール、とくにオフェンスには波があるもので、どんなにいい選手でも試合のどこかでブレーキがかかるのがフツーだ。

それゆえ、個の力に頼ったスタイルは、多分にリスキーな要素をはらまざるを得ない。

たとえば、今回で言えば、大倉がリズムを崩せば、その時点で一気に流れは新潟の方へと傾いてもおかしくはなかっただろう。
 

彼は、最後まで”圧倒的”なまでに試合を支配し続けた





しかし、彼は、最後まで崩れなかった。ぜんっぜん、フツーじゃなかった(笑。
 
それどころか、9回裏まで終始160キロの速球を投げ続けて相手をねじ伏せるような、奇跡としかいいようのないような圧倒的なパフォーマンスをまざまざと見せつけた。

4Q終盤に土壇場で同点に持ち込んだスリーポイントブザービーターも、
ここで外せばほぼ負け確の状態でしっかりきめたフリースローも、
留学生相手に1対1を仕掛けてねじ込んだレイアップも、
OTに試合を決定づける場面で決めたスリーポイントも、
 
どれも圧倒的過ぎて、形容する言葉が見つからない。

 

結局、彼は、この試合一人で59得点という信じられないような数字を叩き出した。
 
しかも、相手はついこの間インターハイで優勝した福大大濠と確か準決勝で4度に渡るOTの激戦を繰り広げた帝京長岡の主力に輪をかけて強力なメンバーであるにも関わらずである。



失礼(笑
 
やはり、未だにこの感情をどう表現したらいいか分からない。

判官びいきのそのまた先にある感情

 
昔から、日本人のメンタリティーの中には、判官びいきという言葉で表されるような、弱い(あるいは不利な)立場の側を応援する文化がある。

例えば、相撲で言えば大柄な力士より小兵力士を応援するような精神性。
そういった意味では、今回、石川県代表は、言い方は悪いが、”小兵”力士だった。
 
だから、私も当初から、
「がんばれ、石川!」とひそかにエールを送りながら観戦していた。
 
しかし、大倉颯太という選手は、圧倒的な逆境を前にして、
逆に、最後まで圧倒的な個の力を見せつけ、ついにはその相手を強引にねじ伏せてしまったのだ。
 

それは、ある種暴力的なまでに圧倒的で、見るものを恐れおののかせるほどの迫力があった。
 
そうなると、不思議なもので、
 
試合を通して、大倉選手から目が離せないことは間違いないのだが、
 
何だろう、私の心理状態も試合が進むに連れて、徐々に興奮の中に少し”怖れ”が入り混じったモノに変化していった。
 
(あれ…これってヤバいやつじゃ…)
 
確かに、物凄いものを観られているという喜びはあるのだが、何か見てはいけないようなものを見ているような…後ろめたさ…
あ、youtubeで見てるからってことではなくて(笑

 
にもかかわらず、画面上の彼本人はいかにも、それを喜々として、楽しんでプレイしているように見えるから余計に異質な、驚異的なものに感じてしまったのかもしれない。
 
ここまで一人の選手に圧倒されて敗れた新潟の選手たちは、いったいどのように感じていたのだろうか。
 
「大迫半端ねえ…」
 
今から10年ほど前の高校サッカー選手権。
そういって涙した滝川第二のキャプテンの顔がフラッシュバックする。
 
とはいえ、高校バスケの歴史に間違いなく残るであろう圧倒的なパフォーマンスを目にできたことはありがたいことだし光栄に思う。
 
未だにあの時感じた慄きは消化しきれていないが、今後も彼のプレイから目が離せなくなってしまったことだけは間違いない。