Jアラートはまるで空襲警報のようだった。

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今朝方、やけに不安をあおるようなトーンで繰り返される大音量のメッセージで目が覚めた。

「緊急警報です。北朝鮮が東北地方に向けてミサイルを発射した模様です。繰り返します。北朝鮮が…」

寝ぼけた頭で、それを夢の続きと処理仕掛けたが、
不幸なことにどうやらそれは現実に起きていることらしかった。

もし仮に攻撃の意図で発射されたミサイルが着弾すれば即死だろうから、特に慌てても仕方なしと、

とりあえず起き上がってテレビをつけてみる。

国営放送を始め、どこも一様に静止画での緊急警報ばかりが映し出されていた。
アナウンサーらが読みあげるメッセージもどれもJアラートと似たような文言が繰り返されるのみ。

「これじゃ、どういう状況か全くわからねえじゃねえか…。」
その後、しばらくするとミサイルが日本上空を通過したという続報が流れた。

その間、私が目にできたものと言えば、静止画の画面だけ。

そして、ようやく映し出された映像には、自衛隊の基地でパックスリーと思われる地対空ミサイルが仲良く空を見上げている様子が映し出される。
放送によると、今回は迎撃システムは発動しないらしい。
(日本上空を通過したタイミングで発動しないなら、いったいいつ発動するんだろう)

まあ、事前に日本に着弾するような軌道ではないということが政府関係者にはあらかじめ伝わっていて、ことを荒立てたくなかったのかもしれないが、何も情報が降りてこない立場からすれば気が気ではないというか、

こりゃ、いざってときは当てにできねえわ、と妙に納得してしまった瞬間だった。

それはともかく、

今回の北のミサイル発射で明らかになったこととしては、

・ミサイルは発射から10分足らずで日本に着弾するということ
→事実上、着弾までに残された猶予は数分のみ。

・Jアラートはいらずらに不安をあおるばかりで、具体的な状況を把握するのには使えないこと
→情報が出てくる頃には着弾してしまうので、サッサとテレビを消して非難すべき。

・ミサイルが発射されてから後出しで迎撃するのは(ほぼ)無理だろうということ

なお、3つ目は、あくまで素人考え、私の推測だが、ミサイルという恐ろしく高速で飛翔する物体に、同じくミサイルを発射して空中で命中させる…それをほぼ100%成功させられるなんて説明は、鵜呑みにするにはあまりに現実味が無さすぎる。

成功率はよくて5割、まあ、普通に考えれば10回に1回成功すればいい方ではないだろうか。
ある軍事情報に精通しているであろうコメンテーターが、テレビで
「民間旅客機に、ミサイルが着弾する心配はほとんどありません、なぜならそれは、空中で石に石をぶつけるくらい難しいことだからです。」という趣旨のことを言っていたが、

じゃあ、ことそれが対空ミサイル迎撃の話になると、
「まあ、ほぼ成功間違いなしですからご心配なく」
では、どうも説明に無理がある。

 

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あれは、まるで・・・

 

「今朝のは、まるで空襲警報だった…」

ある戦争体験者のご婦人が起きしなそう感想を漏らしたというが、
時代錯誤な静止画のテレビ映像といい、無駄に不安を煽るばかりで要領を得ないメッセージといい…まさに言い得て妙という気がする。

ツイッター上でも議論になっていたが、繰り返されたメッセージの内容に関していうと、
着弾までわずか10分の間に、あれだけ広域の人間が地下鉄やら特定の建物に避難したら、パニックになるし、そこで何らかの事故が起きても不思議ではない…というのはその通りだと思う。

そこで万が一死傷者が出たら、一体だれが責任をとるつもりなのだろうか。

北朝鮮が今後、ミサイルの飛行距離を延ばそうと目論めば、その飛翔実験のたびに地理的に日本上空を通過せざるを得なくなるという。

その度に強制的にアラートが鳴り、また、敢えて誤解を恐れずに言うならば、カラ弾頭のミサイルが海に落ちた程度のことで平穏な日常がかき乱されることになるとしたら、正直たまったものではない。

「避難(訓練)ってのは万が一に備えるもんだ」といえばそうなのかもしれないが、
発射実験の度に狼狽えるのは、北朝鮮にいいように踊らされている気がしてならない。

外交専門家や政府関係者の中には、どうもミサイルが発射されてからの対策ばかり論じる人がいるけれど、そんな現実味のないことばかり言っていないで、何とか北と交渉してミサイル発射を事前に思いとどまらせるような姿勢というか努力だけでも見せてほしい…ってそっちもまたムリゲーなのだろうか。
でも諦めたらどっちみち試合終了だし・・・それでもそこをなんとか。



 

追記

先ほど夕方のニュースで、
「ミサイル着弾までの数分間でいったいどう避難したらいいの?」
という問い合わせが警察に殺到したというトピックを扱っていた。

他人事ではないので、興味深く見ていたが、そこで政府がアドバイスとして提示したのが、
「とにかくどこにいてもはいつくばってください。」って。
・・・。
何だかなあ。
インタビューを受けていた女性の言葉にもあったが、

着弾点付近にいたら、何をやったってどだい無理というものだろうし、であれば、個人的にはせめて這いつくばった姿勢では死にたくねえなあ…とは思う。

とはいえ、何かそれらしい回答を出さなければならない政府側の苦しい立場も理解できるし…
「あきらめて、残り僅かな時間を大切に」とは口が裂けても言えないだろう…難しいところ。