アマゾンプライムで目に留まったこの映画。
設定はというと、
地球外から来た生命体が、人類の持つ「心」というものを学習、会得するために彼らが超能力で作り上げた架空の都市に、どこぞから誘拐してきた人々を住まわせ、記憶を改ざんしながら、日夜(夜な夜な?)、行動観察を繰り返している。
偶然にも、その洗脳状態から脱した一人の男がモルモットと化した被支配状態から脱するべく奮闘する姿を描いた作品。まあ、ざっくりいうとそんな感じ。
今から20年近く前の作品という事もあって、流石にCGはチープな印象を受けるが、
(もしかしたら、我々の知らないところでこのような記憶操作が秘密裏に行われているかもしれない…)
一瞬でもそう思わせるだけのリアリティを感じさせられたのは、
やはり、それだけ綿密な作りこみがなされているためなのだろう。
妄想は膨らみ…
この映画とは直接関係ないことだが、
なぜか、近い将来、体内に電子チップのようなものを埋め込むことが当たり前となった世界のことが想起された。
ある話によると、そう遠くない未来、ケータイ電話はさらに小型化し、やがてはそれを体内に埋め込むような時代が来るという。
んなバカなと思われるかもしれないが、
例えば、それにより大量の情報を寝ているうちに脳内に直接ダウンロード出来るとしたらどうだろうか?
いや、『できる』ではなく、『せざるを得ない』状況が生まれる可能性の方が高いかもしれない。
もし仮に、体内に人工知能や記憶媒体を埋め込むことが当たり前になれば、
たとえば、今、主流となっている記憶力を競うような暗記中心のテストの類はおそらく価値を持たなくなるだろう。
ものの数分でダウンロードでき、それを脳内にとどめることができるのなら、数時間かけてそれを覚えることに一体何の価値があるというのか。
当然、各種資格試験、就活、転職の際などに行われる職能をはかるためのテストなども、あらかじめ必要な情報をダウンロードした状態で臨むことが前提となるのかもしれない。
そうなれば、生活の必要上から、相当数の人が、好むと好まざるとに関わらず、体内に何らかのデバイスをとりこむことになるのではないか。
そうなったときに怖いのは、この映画でテーマとなったような記憶改ざんや記憶の窃盗の問題、あるいは思想的な洗脳などが気づかれないまま(あたかも自らそのような考えを持つに至ったように仕向けられ)行われることだが…。
利便性、必要性とトレードオフの関係にある危険性やリスクゆえ、
ある程度避けられないものとして覚悟しなければならないのだろうか…。
それって、結構最悪のシナリオ、表面上ユートピア系ディストピアにもなりえるんじゃね…?
などと思いを巡らせているうちに、映画はいつの間にか終盤に差し掛かっていた。
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タイトルどおり、基本ダークな雰囲気でストーリが展開する映画なのだが、それだけに暗闇の中ぼんやりと輝くネオンの美しさや、人気のない深夜の静寂、ライトに照らされた埃っぽい街の雰囲気など、暗さを引き立てる表現にはスタッフのこだわりが感じられた。
ようやく訪れた夜明けを思わせるラストシーンも、爽やかな余韻が残り、悪くない。