息子をさらった人物の手がかりを探しているうちに、ケロッグという男の存在にたどり着く。
ことの発端はバレンタイン探偵事務所の助手であるエリーに私が記憶している限りの誘拐犯の男の特徴を伝えたことだった。
顔の傷や所持していた武器、また手慣れたやり口などの特徴から、おそらくそれは、過去にもいくつかの事件にも関わったケロッグという殺し屋にほぼ間違いないというのだ。
そこで、さっそく、ダイヤモンドシティ内のかつてケロッグが住んでいたという家を調べてみると、奴のものと思しき吸いかけのタバコが見つかる。
バレンタインのアイディアでその匂いをドッグミート記憶させ、足取りを追跡させることに。
そして、導かれるようにしてたどり着いたのはヘーゲン砦という場所だった。
中に侵入し、守備隊をひとりひとりと片付け、いよいよケロッグと対面する。
湧き上がる怒りの感情を押し殺し、
「お前がやったのか?」
と尋ねる主人公。
「ああ、やったのは俺だ。」
特に感情を揺らすことも無く淡々と答えるケロッグ。
その言葉に、彼女の中で押しとどめていた感情が爆発し、仇の命を奪うべく、激しい銃撃戦が始まった。
高火力の銃を所持し、なおかつ正確にこちらを射貫く技量も持ち合わせた百戦錬磨の手練れを前に、かなりの苦戦を強いられる。
おまけに、奴はステルススーツのようなものを所持し、突如として姿をくらましては目の前に現れたりと変幻自在の立ち回りでこちらを惑わせてくる。
それでも、同伴してくれたニック・バレンタインの助けも借りながら、何とか奴をしとめることに成功する。
そして、後日。
私は、バレンタイン探偵事務所にいた。
実は、ケロッグに対して私はもう一つ聞かなければならないことがあった。
それは、息子ショーンの行方。
「安心しな、あんたの息子は生きてる。」
ケロッグは死の間際にそう言い残していた。
ショーンの無事を伝えるケロッグ。一連の事件には、どうやら裏でインスティチュートなる組織が関係しているようだ。
ただ、唯一の手掛かりであるケロッグが死んだ今、捜索は振出しに戻ってしまった。
「それなんだが、実はな…」
困り果てた様子を見かねたのか、バレンタインが口を開いた。
「知り合いのドクターに、死んだ人間の脳から記憶を復元することができる凄腕がいるんだが…」
死んだ人間の記憶を…復元!?
話によると、彼女は死んだ人間の脳細胞(海馬)から特殊な装置を使って、被験者に故人の記憶を追体験させることが出来るのだという。
「ただ、残念なことにケロッグの頭は脳みそごと吹き飛ばしてしまったがな…。」
とすかさず冷や水をかける気配りも忘れてはいない。
「それなら、大丈夫かもしれない。」
すると私の意思を離れて主人公がそうつぶやいた。
どうやら、何か感じるものがあったのか、ヘーゲン砦を後にする際、彼女は、ケロッグの脳細胞の一部を既に回収していたらしいのだ。なるほどそれは随分とご都合主義的…もとい準備がいい。
これは何というか、我が子の無事を案ずる母の研ぎ澄まされた第6感のなせる業ということにしておこう。
というわけで、ケロッグの脳細胞が鮮度を失わないうちに、急ぎそのドクターの元へと向かうのだった。