そういえば、私の旅の母親として幼い息子を探すことだったっけ。
あてどなくフラフラと散策を続ける最中、不意にそんなことを思い出した。
きっかけは、最近すっかり第一拠点となりつつあるダイヤモンドシティでの出来事。
例のごとくタカハシの屋台でヌードルをススっていると、探偵のニック・バレンタインという男が人探しに力を貸してくれるかもしれないという話しを耳にする。
そこで、食事を済ませると、さっそく彼の事務所へと向かった。
中に入ると、そこには若い女性秘書が一人。
バレンタインと会いたい旨を伝えると、これまたお決まりの展開というか
ここ数日行方不明なので、探してほしいという(笑
まあ、ギブアンドテイクは世の常ということで、手がかりとなる無人のボルト(核シェルター)へと向かった。
中に入ると、またもやお決まりの武装集団との戦闘が開始される。
大分なれてきたとはいえ、大人数を相手にするのはやはり骨が折れることで、何度か黄泉の境をさまよいつつも、なんとかニックの元へとたどり着く。
彼は、よれよれのトレンチコートにハットにタバコという探偵お約束の出で立ちで悠然と部屋の中央に佇み、幽閉されていた部屋のロックを解除してみると、いたって涼しい顔でこちらに挨拶をする。
その肝の据わり方もさることながら、さらに驚くことには、彼は全身が機械でできた、いわゆる人造人間だったのだ。
そして、命の危険があったにも関わらず、
「いやいや、ちょっと古い知り合いのところを訪ねた所だったのだが・・・お出迎え感謝するよ。」
と、まるで人間そっくりに軽口を叩くものだから、しばしこちらもあっけに取られてしまう。
文明が滅びたとはいえ、そこは腐っても200年後の未来。
やはりテクノロジーは随所で目覚ましい進歩を見せているようだ。
彼曰く、ここをうまく切り抜けるためには、地元のマフィアのボスであるスキニーマローンと話をつけなければならないという。
同席した私を尻目に、旧知の仲をうかがわせる砕けた調子で、話をつけるバレンタイン氏。
相手はボディーガード同伴であったため、事の成り行き次第では激しい銃撃戦になることも覚悟したが、なんとか話し合いでの平和的解決で血を見ずに済んで一安心。
機械の体から、二枚目俳優顔負けの色気を漂わせるバレンタイン氏。ダンディな立ち居振る舞いや、時折見せるニヒルな表情などは、どことなく在りし日のク○ント・イーストウッドを彷彿とさせる。
その後、
「10秒数える間にとっとと失せやがれ!」
という、相手ボスのまるで絵に描いたような捨て台詞に促されるようにして、我々は施設を足早に立ち去るのだった。
ともかく、これで息子捜索に一歩前進…となればよいのだが。