【オーストラリア国民食】”ベジマイト”とはいったい何ぞや?

先日、オーストラリアに旅行に行ってきたという知人から、
現地では有名だというベジマイトなるものをいただきました。

ベジマイト…?なんだこれは…?
蓋を開けてみると、なんだかちょっと不気味な茶色いペースト状のものが入っています。

 

怪しい…パッケージはもちろんすべて英語で、何やら脳の機能をサポートする的な表記も見られます。そんな表記、日本の食品ではまず目にしません。ますます、怪しい。

試しになめてみると、しょ、しょっぱい!?
甘いのかと思いきや、かなり塩味が効いていて、なんだか漢方のような薬っぽい味がします。
ちなみに、私は、あまり感じなかったのですが、味見した家族に言わせると、イカの塩辛っぽい魚介系の生臭さを感じるとのこと。

一体何だこれは…。せっかくのお土産だし、無下に捨てるわけにもいかず…。
またエライものをもらってしまった…。

オーストラリア人は、これを好き好んで食べているということでしょうか。
う~む、なんとも奥深し、世界の食文化。

べジマイトはいったい何からできてるの?

いったいあの何とも言えない風味と味の正体はなんだろう。
気になって調べてみると、

このベジマイト、ビールかすを主原料としたイースト菌酵母から作られているそうです。
そう言われるとたしかに、ビールを思いっきり長期間放置して水分を飛ばしたらあんな感じになるかもしれません。

“ベジ”というから野菜から作られているのかと思いましたが、そのような情報を見つけることはできませんでした。ただ、風味づけに野菜の旨味エキスが使われているということはあるかもしれませんね。

【参考】べジマイトってどんな食べ物でしょうか?
また、wikipedia には、ベジマイトに関して以下のような記載が見られます。

ベジマイト(Vegemite)は、塩辛く濃い茶色のペースト状の食品である。主にサンドイッチに用いたり、トーストに塗ったりして食べるが、料理に使うこともある。
オーストラリアとニュージーランドではポピュラーであり、半ば冗談でオーストラリアの国民食と言われることもあるが、他の地域ではめったに見られない。1923年にオーストラリアのフレッド・ウォーカー社(Fred Walker)がビール酵母からスプレッドを開発した際に、食品技術者のシリル・キャリスター(Cyril P. Callister)がベジマイトを発明した。
ベジマイトはイースト菌抽出物(酵母エキス)を元に作られている。実際には醸造の副生成物であり、麦芽抽出物も含んでいる。ベジマイトはチアミン(B1)・リボフラビン(B2)・ナイアシン(B3)・葉酸(B5)などのビタミンB群に富んでいる。
(via: wikipedia / ペジマイト)

なるほど。
味の方はともかく、ビタミンB群を始め、栄養豊富な健康食品であることは間違いないようですね。

 

オーストラリア人なら知らない人はいない!?ベジマイトの歌

ベジマイトが、オーストラリアで国民的な知名度を獲得した背景には、発売当初にテレビCMで流れていた「We’re happy little Vegemites」という耳に残るな歌の影響が大きいようです。この歌のイメージが良かったため、ベジマイト=子供にも安心で体に良い食品という認識が定着していったといいます。

ちょっと歌詞を見てみるとこんな感じ。

ベジマイトの歌

We’re happy little Vegemites as bright as bright can be.
(私たちは思いっきり輝いてるハッピーな子供達)
We all enjoy our Vegemite for breakfast, lunch, and tea.
(みんな朝も昼も夜もベジマイトを楽しんでるよ)
Our mother says we’re growing stronger every single week.
(おかあさんは毎週丈夫になっていくって言うよ)
Because we love our Vegemite.
(だって私たちはベジマイトが大好きだから)
We all adore our Vegemite.
(私たちはみんなベジマイトがだーいすき)
It puts a rose in every cheek!
(みんなを元気にするからだよーん♪)

Vegemite – Australian TV commercial

ベジマイトを食べてすくすく良い子に育つ。
ベジマイトを食べるとお母さんもニコニコ笑顔でほめてくれる。

三つ子の魂100までと言いますが、
ベジマイトはまさにオーストラリア人にとってのソウルフードなのかもしれませんね。

 

べジマイトは日本で言うところの○○だった

私たち外国人にとっては、インパクト大のべジマイトですが、本場オーストラリアでは健康食品の一つとして取り扱われ、日本で言うところの納豆のようなポジションに位置しているようです。

最初に食べてみたときの私の感想は、これは現地では、味噌か醤油的なものなのかな?でした。それくらい塩味が効いています。

確かに、オーストラリアでは、国民食と揶揄されるほど非常にメジャーな食品ではあるらしいのですが、必ずしも全てのオーストラリア人が好んで食べるものでも無いようです。そのあたりも納豆と似ています。

あの味をすべての人が好んで食べる食文化ってどうよって思っていましたが、さすがにそれはないみたいですね。何だか安心しました(笑

 

“本場流”ベジマイトの食べ方

オーストラリアに旅行に行った日本人も、面白半分にお土産として買って帰ることの多いベジマイト。

しかし、チョコレートペーストのような見た目からは想像できない味わいに、思わずソッコーでゴミ箱行きにしちゃったという話もちらほらと聞こえてきます。

確かに、あまり美味しいとも思えないけど、なんだかせっかく買ってきてもらったのにそれもちょっともったいない。

そこで、オーストラリアの人たちが普段どのようにべジマイトを食べているのか、その知恵を拝借することにしました。

 

オーストラリア在住の日本人の方の情報によると、

現地では、ベジマイトをパンに薄く塗るのが最もポピュラーな食べ方だということです。さすがパン食の国。さながら、日本で言うところの納豆ご飯といったところでしょうか。

また、その独特の風味をマイルドにするため、バターを大量に塗ったり、チーズを合わせてトッピングすることもあるそうです。

日本人でも、塩辛と食パンの組み合わせや、味噌とチーズをパンに乗せて食べるのはアリだと思えるならば、ベジマイトとパンの組み合わせも違和感なくイケるかもしれませんね。

じゃあ、白飯とベジマイトは…興味のある方はぜひトライしてみてください。
あ、もちろん自己責任でお願いしますね(笑

 

アメリカ人はベジマイトが大嫌い!?

同じくパンを主食とし、人種的なルーツは近しいと思われるアメリカ人とオーストラリア人。
“パンにはピーナツバター”など、食文化にも共通する部分が多そうなのですが、実はべジマイトはアメリカ人に不評であることで有名なようです。

Americans Taste Test Australian Food
1:43秒あたりからがベジマイトを試食した反応。

さすがアメリカン。言葉は分からなくても、リアクションを見ただけでアリかナシかがはっきりと伝わってきます(笑

おわりに

個性的な味わいで、何かと物議を醸すことも多いべジマイト。

ただ、健康に良い食品であることは間違いないようで、また、味付けの工夫次第で美味しく食べられないこともないという伸びしろは、しっかりと感じさせてくれます。

近い将来、日本でもベジマイトブームが到来…なんてことにはならないと思うけど、なったらなったで何だかちょっと面白そうですね(笑

それでは、また次回。