【バスケ】プエルトリコ代表はなぜ強いのか?

プエルトリコのバスケットボール代表チームが強い。

2014年に行われたアメリカとの試合でも、
今を時めくカリーアービングといったスター選手で固めたアメリカ相手に前半互角に渡り合った。

アメリカナショナルチームと言えば、NBAのオールスターゲームでもお目にかかれないほど、スター選手ぞろいの最強チームである。

そのチーム相手に20分もの間対等に渡り合えるだけでも称賛に値する。
そこでふと疑問に思ったのが、プエルトリコって一体どんな国なのだろうということ。

それを知れば、もしかしたらこの強さの秘密の一端に触れることができるかもしれない。
アメリカと対等に渡り合えるくらいだ、ゆえに、これを書く前は、さぞ人材豊富な国なのだろうと予想していたのだが…

◇人口わずか375万人の島国

プエルトリコは、正確には”プエルトリコ自治連邦区”と呼ばれるアメリカ合衆国の保護領である。政治的にはコモンウェルスという地位にあり、現在はプエルトリコおよび北マリアナ諸島の2地域がこれに該当する。余談だが、フィリピンも、1946年に独立するまでこのコモンウェルス(フィリピン・コモンウェルス)だった。(※なお、ここでは便宜上プエルトリコを国として扱うことする)

世帯の平均年収は200万円を切る水準で、決して裕福な国ではない。

よって、アメリカやヨーロッパの強豪国のような恵まれた練習環境が整っているわけでもなさそうだ。

そして、なんと人口わずか375万(!)の島国である。

ちなみに、バスケットボールでアメリカナショナルチームに勝ったのは過去にわずか6チームだけ。このうちリトアニアを除けば、いずれも人口1000万人を超える国ばかりだ。これを静岡県ほどの人口の国がやってのけたのだ。言うなれば静岡代表チームがアメリカ相手に勝ってしまったようなものだ。これがいかにすごいことかお分かりいただけるだろう。

◇世界でプエルトリコだけが成し遂げた快挙

過去に、世界で唯一プエルトリコだけが達成した快挙がある。それは、野球とバスケの両方で、アメリカ代表チームに勝ったことだ。もちろん、野球はメジャーリーガー揃い踏み、バスケはNBAのスタープレイヤーを揃えたベストメンバー相手にである。バスケだけでなく、野球まで…もはや快挙というほかない。

◇プエルトリコでのバスケットボールの歴史

1930年代、プエルトリコで初のプロバスケットボールリーグ「BSN」が発足。このBSNは、出来た当初から「世界で最も速いリーグ」とも形容さるほど、オフェンシブでスピーディーなゲームが展開された。また華麗なドリブル捌きなどボールハンドリング能力に優れたプレイヤーが多く在籍したという。

1980年代前半になると、多くの試合がテレビで放映されるようになり、派手なプレイを目にした人々の間でバスケットボール人気に火が付き、バスケットボールは一気に国民的なメジャースポーツとなった。さらに、本場アメリカ同様、ストリートバスケも人気で、街を歩けば、コートでプレイする若者たちの姿を目にすることができるという。

また、プエルトリコは、代表にも名を連ね、アメリカを倒す原動力ともなったJJバレアカルロス・アローヨなどNBAでレギュラークラスとして活躍する選手を多数輩出している。

彼らの来歴を見てみると、いずれもNCAA(アメリカの大学リーグ)に留学して早くからレベルの高いバスケットボールを経験し、その活躍が認められてNBAのチームと契約に至っている。

両者ともテクニックに優れたガードプレイヤーであり、プエルトリコ伝統のスピーディーなバスケットを得意とする選手たちである。

◇プレルトリコの強さの秘密

では、なぜプエルトリコはバスケが強いのか。

そのカギを握るのは、やはり最強国アメリカの存在なのではないだろうか。
プエルトリコはアメリカの自治領であることから、文化的にもアメリカと密接な関わりを持っている。また、トップクラスの選手たちは皆当たり前のようにアメリカの高校や大学に留学し、早くから本場で腕を磨く機会を得ている。

また、バスケットボールが盛んな地域性もあるだろう。隣国には、アメリカはもちろん、かつてジノビリらを擁しオリンピックでアメリカを倒して金メダルに輝いた世界ランク3位のアルゼンチンや、バルボーサバレジャオ、ネネイなどNBAプレイヤーを数多く輩出するブラジルなどの強豪国が多い。そのような国々とアメリカ大陸予選の度にしのぎを削る経験を通して国の競技レベルも向上していったのではないか。

また、プエルトリコと言えば、ルンバやサルサのルーツの一つにも数えられており、非常に音楽が盛んな国のひとつでもある。

プエルトリコの選手にはドリブルやシュートの上手いプレイヤーが多いく、アロヨやバレアといったプエルトリコ人プレイヤーのプレイには独特のリズムがある。これにはマッチアップしていたアメリカ人プレイヤーたちも、随分と手を焼かされたようだ。

彼らのその独特なリズムのルーツは、まるで音楽が空気に溶け込んだような日常の中で自然と体を揺らした幼少期、もっといえば、さらに彼らの民族がはぐくんできた民族性にまで遡るのかもしれない。

もともと、バスケットボールのスタープレイヤーには黒人の選手が多いが、これは、一般的に黒人がほかの人種に比べてリズム感に優れていると言われていることと無縁ではないだろう。
そして、プエルトリコの何よりの強みは、バスケットボールが日常の中に溶け込んでいることなのだと思う。

街を歩けば、すぐに、ストリートで腕を磨く少年たちの姿を目にすることができる。そして、テレビをつければ当たり前のように華麗なプロたちのプレイを見て楽しむことができるのだ。
そして、少年たちは、いつか自分もNBAやナショナルチームでプレイすることを夢に描く。
その中から、今後もきっと明日のスターが誕生していくに違いない。