
先日、知人が職場の後輩に、「もりそば買ってきて」と頼んだところ、具がたくさん乗った山菜そばを買ってきたという話を聞いた。
その知人が「いや、俺、もりそば頼んだんだけど、なんで山菜そばなん?」と尋ねたところ
その後輩いわく、
「え?いろいろ盛ってあるのが盛りそばじゃないんすか?」
そばについてそれほど思い入れが無い私は、その時は「ふ~ん」くらいにしか聞いてなかったけど、確かに、たまに蕎麦屋にいくと、大概メニューには「ざるそば」と「もりそば」の二つが並んでいた記憶がある。
でも確かに、分かりにくいよね。
ざるそばはなんとなく、名前からイメージできるけど、もりそばって何だよ、と。
器に盛ってあるんだから、ざるそばだって、山菜そばだって、もりそばだろ、と。
そう考えると、もりそばという聞きなれないネーミングから、具がたくさん乗った山菜そばをチョイスした後輩君を責める気にはとてもなれない(というかむしろ座布団一枚?)。
ざるそばはなんとなく、名前からイメージできるけど、もりそばって何だよ、と。
器に盛ってあるんだから、ざるそばだって、山菜そばだって、もりそばだろ、と。
そう考えると、もりそばという聞きなれないネーミングから、具がたくさん乗った山菜そばをチョイスした後輩君を責める気にはとてもなれない(というかむしろ座布団一枚?)。
◇違いは海苔だけ??
じゃあ、ざるそばともりそばの違いって、一体なんなの?と気になったので、さっそく近所の蕎麦屋(チェーン店)に出向いてみた。
メニューを見るとやはり、「ざるそば」と「もりそば」の二つが用意されている。
しかも、ざるそば600円、もりそば500円と値段が100円違う。
そこで、店員さんを呼び、
「すいません、ざるそばともりそばの違いって何ですか?」と聞いてみたところ、
「海苔が乗っているかどうかれすねー。」というまさかの回答。
は?海苔だけで…100円違うの? んなアホな…。
それを聞いて、
その日は安心して、もりそばを食べて帰りました。前歯って大事。
◇盛ってある器の違い?
ちょっと調べてみると、「ざるそば」は、ざるに、「もりそば」はセイロに盛られているという意見が目に留まった。
そういえば、セイロそばってのも聞いたことがあるな…てことは、セイロそばってもりそばのことなの??
いかん、疑問がまた増えてしまった。セイロさん、また後でね。
◇歴史的なこと
薄々気づいてはいたけれど「ざるそば」と「もりそば」の名前の由来には、どうやらそれぞれの誕生の歴史なんかが関係しているらしい。
でもね、正直、歴史的なこととかあんまり興味がないのですよ。
単純に、「ざるそば」と「もりそば」が100円違うことへの納得のいく回答が欲しいだけで…。
まあ、それでも、さすがに最低限のことは抑えておかないと、永遠に答えに辿りつかなそうだったので、基礎的なことだけでもちょっと学んでみましょうか。めんどくさいけど。
まずこんな記載を発見。
以下、「ざるそば」と「もりそば」の違いより抜粋
お蕎麦屋さんのメニューで「もりそば」や「ざるそば」というメニューがありますが、この違いは ただ海苔がかけられているのが「ざるそば」と思っている方が多いと思います。しかし正確に 言うと違いがあります。まず「もりそば」ですが、江戸時代の元禄の頃から「ぶっかけそば」というのが流行っていました。つまり汁が かかっている「かけそば」みたいなものです。その為それと区別する必要があり、汁につけて食べるそばを 「もり」と呼ぶようになりました。そばを高く盛ることから「もりそば」と言われたそうです。 盛り付ける器が「せいろ」などは「せいろそば」と呼ばれたこともあったそうです。一方「ざるそば」は、江戸中期に江戸(東京)深川洲崎にあった「伊勢屋」というお蕎麦屋さん で、そばを竹ざるに盛って出されたのが始まりのようです。明治になって、「ざるそば」に海苔がかけられるようになったそうです。このときは「ざる汁」 という、「もりそば」で使われている汁とは違ったようですが、今では「ざるそば」専用の「ざる汁」 を作るお店は少ないようです。参考サイト:全国麺類生活衛生同業組合連合会
なるほど。
最初は「かけそば」と区別するために「もりそば」と呼ぶようになったと。
そして、盛り付ける器がセイロだと「セイロそば」と呼ぶこともあるのだと。
ふむふむ…「もりそば」という会社組織の中に「セイロそば」という部署が収まってる感じ?…あ、お帰りなさい、セイロさん。
そして、盛り付ける器がセイロだと「セイロそば」と呼ぶこともあるのだと。
ふむふむ…「もりそば」という会社組織の中に「セイロそば」という部署が収まってる感じ?…あ、お帰りなさい、セイロさん。
◇「ざるそば」は元々高級品だった?
子供のころ、家族で蕎麦屋に行くことがあると、
決まって父が「ざるそば」で私が「もりそば」だった。父の機嫌がいい時はたまに天ぷらそばを注文させてくれるのだけれど、基本はコレ。
決まって父が「ざるそば」で私が「もりそば」だった。父の機嫌がいい時はたまに天ぷらそばを注文させてくれるのだけれど、基本はコレ。
だから、「ざるそば」はどこか高級品というイメージがある。
◇わりと納得できた回答
そして、そのイメージはあながち間違いでもないらしい。
「ざるそば」と「もりそば」では、どうやら「つゆ」にも違いがあるようなのだ。
「ざるそば」と「もりそば」で価格差が生じることの理由としてなるほど!と感じたのが以下の3点。
・江戸時代、昆布は高級品だった(交通機関が未発達の時代に、はるばる北海道から運ばれてきた)・両者の値段の違いは、本質的には出汁(となるものの原料。鰹(かつお)と昆布)の価格差に由来する・そもそもが高級品である“ざる蕎麦”の方は、更に付加価値をつけるため海苔をトッピングしたり、ざるに盛ったりした
昆布はかつては高級品だったとのこと、恥ずかしながら交通機関が発達した現代にあってはちょっと想像できませんでした…。
一般的に、「ざるそば」には海苔が乗っているが、もともとはざるそばのつゆは、海苔の味にも負けないように「ざるつゆ」と呼ばれるしっかりした味付けのものが使われていたのだそう。
ただ、現在では、ざるそば専用の「ざるつゆ」を作っているお店は少なくなり、かつての名残として「海苔のせ」だけが残ったことから、「ざるそば=海苔が乗ったもりそば」と誤解されることが増えたということらしい。
そして、「盛り付ける器の違い」や「海苔が乗っているかどうか」は、本質的な違いとは関係なくて、高級感を演出するための飾りつけだったということだそうだ。
◇まとめ
「ざるそば」がちょっとお高めなのは、庶民の間でそばが食べられるようになった江戸時代に出汁として使われた昆布が高級品だったことに由来し、今でもその名残が残っているということらしい。
その一方で、どの容器に盛られているかだとか、海苔が乗っているかなどはあまり関係がないことだということも分かった。
そういう本質とは異なる些末なことだけが、あたかも本質的なことであるかのように受け継がれている…そう考えるとなんだか出来の悪い伝言ゲームみたいでちょっと笑えなくもない。
ただ、現在では、「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」というネーミングは、店側のさじ加減で決められることがほとんどだそうで(そもそも、店側がそれぞれのそばの由来や違いについて理解しているかどうかも怪しい?)、店によっては、「ざるそば」なのに、海苔がなかったり、セイロに入った「もりそば」なんてものもあるのだとか。
だから、迷ったら一番安い「もりそば」を注文しとけば間違いないんじゃないですかね?
そうしたらワンチャンざるの上に海苔がのって出てくるラッキーパンチがあるかもしれないし。